第51話姉妹

「ほう……想像以上だ…」

ワームを切り裂き脱出した、私を見てメガネデブが呟く。

――メガネデブ?敵とはいえこんな汚い言葉を選択するとは演算能力に支障が出てるのかしら…

「姉様!」

妹二人が寄ってくる、二人は私程高度な演算、柔軟な対応が出来ない。

リスクはあるが……これしかない!

私はスカートをたくし上げた。

兵士達の視線が私の股間に集中する!

アガルマトフィリアで有る、彼等にはたまらないだろう。

「残念だったわね?見られるのは私のパンツではないわ!!」

次の瞬間、私はスカート内部に隠されていた魔導砲を発射する。

光の濁流がワーム達と兵士達を飲み込んだ。




「―――ここは……」

「姉様気が付きましたか?」

私は妹の背中におぶさっていた。

私は魔導砲の急発射の反動でシステムダウンしたらしい。

後を見るともう一人の妹が追っ手を警戒しながらついて来ている。

「トーマス様の元に向かっています」

「そう、システムダウンしてからどれぐらいたったの?」

「5分ほどです」

5分か、通常再起動まで二分程度、だいぶ消耗したようね。

私はセンサーを機動し体をチェックする、オートマータである自分は痛みや疲労を感じない。

常にセンサーを稼働させダメージをチェックしないといけない。

人間は優れてると思う、痛みと言う信号で自動でダメージを負った所がわかるのだから。

―――チック開始

―――魔導砲の制御システムにエラー

―――機動性の低下無し

―――魔導砲以外の兵装異常なし

戦闘は出来るが魔導砲は撃てない、大型のオートマータの戦闘は厳しいわね。

「お姉様――疑問があるのですが?」

私をおんぶしてる妹が訊ねてきた。

「何ですか?」

「先程の戦闘は魔導砲では無く、私が自爆特攻したほうが合理的でした……なぜ魔導砲の急発射をしたのですか?」

私は演算する、人間的に言えば妹が大事だからなのだが、それを言っても量産型である妹には分からない。

妹達は私程演算能力が高くなく、そのまま「妹達が大事だから」と言っても分からないだろう。

私は妹達にわかる言葉を選ぶ。

「非効率であっても、貴方達を失う事の方が損はひが大きいと判断しました」

「わかりました」

「それより降ろして…自力で移動します」

私は妹に降ろすように命じる。

私は背中から降りると状況を整理する。

私の目は高性能のカメラであり、望遠機能、熱探知、魔力探知の各種機能が備わっている。

追っては居ない?諦めたのか?

取り敢えず妹の体で満足したのか?

私はトーマス様の言葉を思い出す。

「彼奴等は貪欲で――金と人形とやる事しか考えてない」

さっきの部隊の目的はトーマス様を捕え、ドールで人形を造らせ、金と極上の人形を手にする事だ。

『欲望を叶える為にトーマス様を捕らえようとするはず……諦めたとは思えない?』

演算するが、撤退以外に答えは出なかった。

私は想う……人間であれば直感や虫の知らせと言うもので、もっと危機を回避できたのではないかと。









――――――――――――――――――――――

更新が遅れてすいません、ドールとの戦闘が終われば聖女様が出てくる予定です。

必ず完結させますので宜しくお願いします。

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