第47話開戦

「遂に始まりましたか…」

私は神に祈りを捧げながらそれを感じた。

一言で言うなら狂信、ペドフィリアの幼児への偏愛…彼等は自分達の正当性を信じて疑わないのでしょう。


「聖騎士は前に進め!」

号令に従い聖騎士達が突撃する。

フル装備の聖騎士は単純な物理攻撃など効かない、特殊素材と信仰による加護を兼ね備えており無敗だった。

ペドフィリアに敗北するまでは! 

「幼女の為に!」

「幼女と結婚!」

「幼女と付き合う為に!」

ペドフィリア達が自らの信仰を叫びながら聖騎士に襲いかかる。

聖騎士達は彼等一撃を受け止め、返しの一撃を喰らわす。

聖剣は彼等の装備を切り裂き、肉を裂き骨を断つ、だが彼等は止まらない。

痛覚が無いわけでも不死身でもない、痛みは我慢すればいい。

彼等の肉体を動かすのはもはや個人の意識では無いのだ。

性癖……彼等の魂の在り方である幼女性愛が体を動かすのだ、肉体が朽ちるまで……



開戦の様子を遠くから観察してる集団があった。

ドールから秘密裏に派遣されたトーマス捕獲の精鋭部隊、ギミック隊である。

「どうやら…聖騎士団に勝ったのは紛れではないようだな」

金髪の女が戦況を見て呟く、今のところペドフィリアがやや押している。

女は考える、報告にあった幼女型ゴーレムとトーマスのオートマータが見当たらない。

「正規軍のストリング部隊から連絡はないのか?」

女は部下の男に尋ねた、正規軍のストリング部隊は聖都奪還の大義の為聖騎士団と合流している。

「トーマスの所在は不明との事です!マリオ隊長!」

「そうか……ところで……マリオって私の事か?」

女の首がぐるっと真後に回った、顔は怒りの形相で部下を睨みつけている。

「も、申し訳ありません!マーガレット隊長!」

男は恐怖に怯え震えている。

マーガレットは体の向きを変え男に近づく、貼り付けた様な笑みを浮かべ。

「分かればいいんだ……」

男が安堵した次の瞬間、マーガレットは男の右手を掴んだ。

「今のは嘘だ……上官の名前を間違えるな…」

「ぎゃあぁぁ」

男の右手は手首から握りつぶされる、明らかに常人の握力ではない。

「隊長!戦闘前に戦力減らさないで下さい」

メガネを掛けた小太りの男が駆け寄ってきた。

「あ……すまないなフリード……取り敢えず此奴にハンドパペットでも着けてやってくれ…」

このフリードはマーガレットの副官であり、ドールでの汚れ仕事を主に担当していた。

「そこの二人処置を頼む!」

「はっ」

フリードが近くにいた部下に処置を頼むと男は何処かに連れていかれてた。

「少しは自重してください……心労で痩せてしまいそうです…」

「それは冗談か?」

「訂正しますストレスによる過食で激太りしそうです!」

「何!?その腹は私のせいだと言うのか?」

「何割かはそうです!この間のあれは何なんですか?部下にチンピラ役をやらさるなんて!」

「あ、あれはだな美少年を颯爽と救う姉さんと言うシチュエーションをやりたくてな……」 

完全なるヤラセである。

目を付けた美少年を部下襲わせ、そこにマーガレットが颯爽と助けに入る。

助けたあとは食事に誘い酒を飲ませ、良い感じなったところを性的に頂くという寸法だ。

「隊長の義体のスペックなら普通に落とせるでしょう?」

マーガレットのプロポーションはバランスが取れていて、良く出来た人形の様に美しかった。

「浪漫の問題だよ、ところで今回の任務君はどう思う?」

フリードは彼女の質問に暫く考えたあと。

「まあ、金は大事ですからね、トーマスを確保したいのはわかりますが…」

「金じゃないよ…金は建前だ…」

「そうなんですか?」

「ああ、大統領の最初の妻は人間だった、最も政治家としてパットしない時期に亡くなったので憶えてる奴は少ないが……そこで思ったそうだ死なない妻が欲しいと!今回の作戦の本当の目的は妻の延命なのさ!愚かな話だ人間は死に、人形は壊れる永遠など無いというのに……」





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