第41話脅迫

「ノーズ様、その幼女は本当にユリアン様なのですか?」

「オルタナティブと名乗っておったが間違いない、あの良き臭いユリアンだ」

ん?

良き臭いって?

「激務である聖騎士は汗臭いことが多い、だがユリアンは何時も良い臭いをしていた!私があのグッドスメルを間違うはずは無い!」

ユリアンさんは男、ノーズさんも男ですね。

なるほどそう言う性癖ですか…

「それで聖都を奪還しようと思うのだが、聖女アナ・ホール……皆の旗印になってくれんか?」

「えっ、いやです」

私が即答で断ると団長が頭を下げてきた。

「全力で護るので何とか!」

「後方で怪我人の手当ならしますが、聖都を取り戻す為とはいえ聖女である私が前線に行くべきでは無いと思います」

恐らく他国の援助を求める為に私を利用したいのだろう。

聖女の地道な活動の成果か、私の人気はかなり高い、私が戦場に行くと言えば志願兵も集まるだろう。

自分が前線に出るのが怖いのではない、自分の性で一般の犠牲者が増える事がいやなのだ。

それにいくらペドフィリアのゴーレムやオートマータが強いと言っても第三聖騎士が無事なら奪還できるのでは無いだろうか? 

「君が前線にきてくれればアニマールすら援軍をよこすだろう、聞いているよ君が起こしたという奇跡によって精神を破壊された兵士が助かったと!それにノロイ辺境伯令嬢は姉をペドフィリアに殺害されたとも聞く……」

奇跡か……

確かに私の掘り当てにより被害者の男性の精神は回復したと聞く、リリーエ様もペドフィリアを逃したことを悔やんでいた。

私の名前を出せば恐らくリリーエ様も出陣なさるだろう、それでも……

「ノーズ様にロウ様!誇りがあるなら他国を巻き込まず我々だけで奪還すべきです!第三騎士団は無事なのでしょう!」

誇りと言うのは建前だ、位の高い神官はプライドが高い者が多い乗ってくれると良いのですが…

「それが…答えなのだな?」

「ノーズ様分かっていただいて…」

「わかったよ……」

私が胸をなでおろすと部屋の外から神官が数名入って来る。

「アレックス・マーキュリーとレイナ・エクスプレスを拘束しなさい!」

ノーズ神官の命令で神官達が二人を取り囲む。

「何の真似です!」

「未だにアレックス君は生きてるのではないか?生きていれば帝国に引き渡して欲しいと言う声が

あってね、彼を引き渡せば戦費の足しにはなろう」

アレックスさんを帝国に引き渡す?

戦費の足しに?

「レイナ君……アレックス君と引き裂かれたく無ければ聖女様に頼んでくれないか?君が泣いて頼めば聖女様の気持ちも変わるかも知れん…」

「な、何だと!」

レイナは剣に手を掛ける、万が一抜刀すれば相手につけ入れられる。

「聖騎士と言えども男女の営みは必要だ、残り香からして最後に交わったのは二日前かね?アレックス君の臭いがする……」

何と言うセクハラ、レイナを挑発し抜刀させる気だ。

それだけは避けなければならない。

「わかりました……その変わり二人に手を出さくないで下さい……」

二人の為に私は要求を受け入れる事にした。





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