第40話敗北
「聖都がペドフィリアに?」
聖騎士団が護る聖都がペドフィリアに落とされた?俄には信じられません。
「盗賊を引き渡したら、教会に行きましょう逃げ延びた者が居るそうです」
レイナの提案を受け入れ、私達は盗賊を引き渡すと教会に向かいました。
街の奥の教会の周りには無数のテントが貼られて居ました。
異常事態です、よく見るとテントの中には怪我人が寝ています。
「そんな……第一聖騎士団がここまでやられるなんて………」
レイナが怪我人の顔を見て呟きました。
見知った顔が居たのでしょう、私の警護に任命される前は第一聖騎士団所属だと聞いていました。
「聖女様!」
「クルーガー様!」
声の方を向くとそこには全身に包帯を巻いた、ロウ・クルーガー団長の姿がありました。
酷い怪我です、聖都には多くの神職がおり回復呪文の使い手には困らないはずが、完治どころか応急処置止まりに見えます。
「聖女様、詳しい話は教会の中で…」
私達は教会無いの小部屋に案内されました。
中には既に男の神官が座っていました、名前は知りませんが服装からして位の神官なのでしょう。
彼は立ち上がると「よくぞ聖女様ご無事で…」と声をかけて来ました。
「私はノーズと言います、聖女様は私の前に座ってください」
神官に促され対面に座る、彼の顔は疲れのせいか実年齢より老いて見えた。
団長は神官の隣に座る、彼もまた疲労しているようだ。
「聖騎士団と多数の神官が存在していた、聖都が陥落するなんて信じられません、何があったのてすか?」
私の疑問に団長が答えた。
「一つはペドフィリアが聖都を攻める事を予測出来なかった、奇襲をうけ立て直しが出来ませんでした…そして彼等の新兵器幼女ゴーレムと幼女オートマータに太刀打ち出来なかった…」
幼女……ゴーレム?
幼女オートマータとは……?
私が何だそれはと言う顔をしていると、団長は説明を始める。
「私も最初目を疑いました…彼らは幼女の姿をしたゴーレムとオートマータを用意していたのです…」
なるほど彼等はペドフィリアだ、士気向上の為に態々幼女の姿を模したのだろう。
「それ程なのですか?」
「特にオートマータの性能が凄まじく、並の聖騎士では……」
「ドールでは戦闘用オートマータの製造は禁止されてると聞きましたが…」
ドール共和国のオートマータ技術は世界一、その技術の兵器転用を恐れられ、条約で戦闘用オートマータの開発、製造は禁止されている。
「トーマス・アークロード…天才人形師であった彼がペドフィリアであったのです……」
「三つの聖騎士団はどうしたのですか?」
聖都の誇る聖騎士が全滅したとは考えられない、他の拠点にいるのだろうか?
「当時第三聖騎士は演習中で聖都にいなかったので無事でしたが……第二はペドフィリア征伐に行ったおりに全滅…第一はご覧の有り様です…」
「ユリアン団長が敗れたのですか!?」
第二聖騎士団が全滅したと聞いてレイナが声をあげる。
「君はユリアンと仲が良かったね……残念だが…彼は裏切ったようだ……」
団長の言葉にレイナは言葉を失う、所属は違えどレイナにとって大事な人だったようだ。
「間違いないのですか!あの高潔なユリアン様がペドフィリアに与するなど信じられません!」
「間違いない!奴は幼女になった挙げ句ペドフィリアに寝返ったのだ!」
ノーズ神官が怒りをあらわにする。
「幼女化薬は知っていよう…ユリアンは適合したのだ」
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