第37話幼星

「気がついたか…」

私はベットに寝ているセシルに声を掛けた。

「ここは…?」

「お前の部屋だ…悪いが情事の余韻はもう終わりだ…」

私の情事と言う言葉にセシルは顔を紅くする。

可愛いと私は思った、これから殺す男の子供を可愛いとは私も正気ではないな。

「寝ている間に手足を縛らせてもらった、服も私が着替えさせた…」

状況を説明するとセシルを抱きかかえた。

「どこに?」

「中庭で君の父上と決闘する、君には立会ってもらう」

セシルに会う前に既にアンドレとは再会していた、想像以上に彼は堕落しているようだった。

時間を与え、体調を整えるように伝え、彼の愛用の剣も渡して置いた。

「自害するならそれでも構わない、お前さえ死ねば家族に危害は加えない」

それが最大限の譲歩だったのだが、部下からの報告だと私に勝つ気らしい。

「父上は聖騎士時代とても強かったって聞いてたけど……本当は違うの?」

アンドレは息子には強い聖騎士だったと言っていたのか……

「父上が本当に強ければユリアンは既に倒せているはずです……」

「剣の腕は並だった…だが書類作成などは得意だったよ…」

アンドレは書類作成の方が得意だった、他者の功績を自分の様に思わせる位にはな。

言い回しが上手かった、良く考えなければアンドレが主体に任務を遂行したような表現だった。

万が一露見しても読み手の勘違いと言い切れるレベル、もっと他に努力すれば良かったのにと思う。

「お待ちしておりました、オルタナティブ様」 

玄関前に控えていた部下の男が私に挨拶をする。

「他の家族に変わりないか?」

「薬で眠っております…中庭までご案内します」

部下がドアを開けるて先行する、性癖にさえ目をつぶれば本当に皆優秀で欠点がないな…

私の部下は全てがペドフィリアだ、聖都を裏切り彼等についた。

今回の襲撃は私の個人的な問題であり、彼らは唯の助っ人だ。

そんな事を考えながら歩いていると、抱きかかえているセシルの顔が赤いに気づいた。

「顔が赤い…熱でもあるのか?」

「熱はないです…」

「令息はオルタナティブ様にの胸の柔らかさや温もり、そして体臭により欲情や羞恥の状態になっているものと推察します…」

なるほど……部下の解説を聞いて納得した。

聖騎士だった私が、怪我をした村娘をこの様に運んだ時に顔を赤らめていたのは恥ずかしかったのか……

おそらく部下の推測は正しい、彼への配慮が足りなかったな。

私は自笑した、これから彼の父を殺すのに配慮などと。

「ユリアン!」

「先輩体調は良さそうですね…」

中庭に到着すると先輩が怒鳴りつけてきた。

子爵になっても落ち着かない人だ。

私はセシルをゆっくりと降ろした、息子の方がよっぽど肝が座っている。

「先輩自決しませんか?セシル君の前で恥かきたく無いでしょう?」

「黙れ!ペドフィリア屈した敗北者が!」

呆れた…ここまでセシル君や夫人を気づかう言葉がない。

「敗北者?ユリアンさんが?」

「私が率いた第二聖騎士団はペドフィリアに敗北した、そして私は幼児化薬に適合しこの姿になった」

事情を説明し私は彼の縄を解いた。

「やっぱり部屋に帰っても良いよ、見所の無い決闘に成りそうだしね」

「何だと!そんな体で何が出来る?」

どうやら幼児化した事で私が弱くなったと思ってるようだ。

私は剣を抜き名乗りを上げる。

「私はペドフィリア首領に仕える、三幼星が一人!オルタナティブ!アンドレ・パークス勝負だ!」

















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