第26話嘘でしょ?ついてるの?

私は怪我人に回復呪文を掛ける、魔力低下により気を失いそうになるが唇を噛み耐える。

聖女と言えども人間、魔力に限りがある。

あと一人か二人が限度だろう。

「あと二人が限度です……重症の方はどこです?」

私はアレクさんに尋ねる。

「いえ、大方終わりました……あとは他の方に

…」

「そうですか……あっ…」

「アナ様!」

倒れそうな私をアレクさんが肩を貸してくれた。


アン・ガールは魔術による偽装で、その様子を隠れて見ていた。

『そろそろか……いや獣人兵士が多い…』

彼女は辺りを見回した、セバスが暴れているおかげか人数が減ったが……

「おい!ノロイ辺境伯嬢がテロリストと戦っているぞ!」

「どうする?ここは落ち着いた加勢にいくか?」

兵士達は加勢に行くか相談している。

アンはシビレを切らし、男の声で「相手はペドフィリアだ!早く加勢にいくべきだ!」と言った。

すると兵士達に動揺が走る。

「不味い、辺境伯嬢はペドフィリアに家族を殺されている!」

「冷静さを失ってどうなるか…」

「良し加勢に行こう!」

「ところでさっきの声どこから?」

「そんなことより、リリーエ様にもしものことがあったら俺のソロプレイのオカズが」

「お前、不敬だぞ!同意するが!」

兵士達は辺境伯嬢の加勢に向った。

『チャンスだ!』

アンは短剣を抜く!

認識阻害の魔法を解除し一気に間合いをつめる。

「アナ様!危ない!」

アレクサンドリアは聖女を突き放し、剣でアンの゙短剣をガードし切り返した。

「ふっ」

アンは鼻で笑い、バックステップで躱した。

「やるね!メイドのお兄ちゃん!」

「女の子?」

フードを被りマントを羽織っているのでよくわからないが、小柄で声からして女の子ようだ。

「まじかよ……」

周囲がざわつく、急にナイフを持った不審人物が現れたのだ、驚くのも無理もない

「あのメイドさん男なの嘘でしょ!?」

「あの容姿で竿ありとかご褒美です!」

「玉はタマタマはあるですか!?」

「竿と玉はセットでこそエロい!」

驚いてたのそこなの!?

私はアレクさんの顔を見るが耳まで真っ赤だ。

「どいてお兄ちゃん!そいつ殺せない!」

私はいつの間にか幼女に恨まれたようだ。



な、何なのだこいつは?

私、リリーエ・ノロイは姉を殺したペドフィリアを憎んでいた。

『目の前にペドフィリアが居るというのに!』

テロリスト鎮圧の為に出動すると男はペドフィリアだと性癖を開示してきた。

姉の事件を知っていたので、私の動揺を誘うつもりだったのだろう。

それだけだったら耐えられた!

だが、あれは不幸な事故、お姉さんと付き合いたかっただけ、悪のは世界だのぬかされた。

あれが計算ならたいした物だが、戦ってみて分かった、この男は素であんな事をいったのだ。

「本当に気持ち悪いよ…お前!」

「………」

男は無言で私と戦い続けている。

悍ましい!姉上はこんな悍ましい者に犯され死んだのか!

私は悔しかった、姉上の様な犠牲者を出さないように鍛錬してきたというのに倒せない!

「苛々する!」

「がっ」

男の思わぬ反撃に嘔吐する、獣化して無ければ重症だったろう。

「聖女アナ・ホールが邪魔しなければ!今頃は!」

男が急に叫び出した、やはり薬物でもやっていたのか!?

男は麻薬の禁断症状の様に全身を振るわせ、訳のわからない事を言い出す。

「金髪碧眼の幼女とよぉー、幸せな新婚生活を送れてたはず何なあー」

男が懐から金属製の筒を数本取り出した。

「これは爆弾だ、お前ら人間モドキのケツに突っ込んでやった物と同じだ!回復呪文をキーに爆発する!こういうふうに!」

男の手に魔力が!

「自爆するきか!総員退避!」

私は兵士に退避を命じる!

眩い光が辺りを包み込む。

爆発の熱と衝撃に身構えるが……

「やられた…閃光弾か……」

目を開くと男の姿は消えていた。







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