第一章9話 「初めての仲間」

 リングで激闘を繰り広げたノムキネとゲンジ。勝負が終わった後、2人はフラワーズの拠点である酒場に戻り、話をしていた。


「すごく楽しい試合でしたね!」


「そうやな。でも、ノムキネくん強すぎやわ。うち、今まで1回しか負けたことなかったんやけどこれで2回になってもうたわ」


「1回負けたって、誰に負けたんですか?」


「リングの中でちょっと話したやろ?フラワーズに所属しとうもう1人の「超越者」。メリア・アルトロスや。あの子、女の子やしうちより1歳年下やのに、めちゃくちゃ強いねんな」


「ゲンジくんより強くて、女の子???」


 もう1人の「超越者」が女の子ということ、自分より年下ということを知り、しかもあんなに強かったゲンジに勝負で勝っているということを知って驚く。


「そうやねん。しかもメリアの能力は——」


 そう言いかけたが、ゲンジは話すのをやめた。


「あかんあかん。能力は他の人に言ったらあかんってメリアに言われとったんやった」


「じゃあそのメリアさんに一緒に会いに行きましょう!」


「頑張ってきーよ。ん?ちょっと待って?一緒に?」


 一緒にという言葉に疑問を抱き、混乱するゲンジ。


「さっき、ゲンジくんが僕の事を強いと思ったら一緒に冒険してくれるって言ってたじゃないですか!」


「あ。勝負に夢中になりすぎて、普通に忘れとったわ」


「酷いですよー。そのために勝負したんですから。そして、僕が勝った!ゲンジくんは僕の事を強いと思った!約束通りに出発しましょう!今すぐに!」


「分かったからちょっと落ち着いてーよ」


「落ち着きました」


 ノムキネは、言葉で攻めていると思っていたら、すぐに落ち着いた。


「じゃあ一緒に冒険するのはええけど、まずうちの故郷のナヴァタ城下都市に来てくれんか?うち、パーティ組むとか初めてやから、一緒に冒険する仲間として親に挨拶とかして欲しいし」


「ということは、今までは1人で冒険していたんですか?」


「いや、そういう訳でわないねん。メリアと一緒に冒険してたけど、パーティは組んでなかったねん。他にも理由はあるけど...まあここでは言わんとくわ」


「では、目的地ナヴァタ城下都市に向かって出発!」


 そう言って、ノムキネはゲンジを引っ張って酒場を飛び出した。


 しかし、


「ナヴァタ城下都市ってどこにあるんですか?」


「知らずに飛び出したんか?やっぱゲンジくんおもろいな。アメちゃんいる?」


 こうして、「超越者」2人のオーバースペック過ぎるパーティが誕生した。「超越者」2人の冒険に立ち塞がるものはあるのだろうか?

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