第42話 打倒大阪四天王
5人も子供作ってしまったのアンタの決断の結果でしょ。
マッチポンプじゃないの?
……って思ったけどさ。
そこに至った経緯が分からんしな。
そこはスルー一択か。
まあ……目的には異論は無いね。
こんな、道端に全裸で内臓を抜かれた死体が普通に放置されてる世界、間違ってるに決まってるし。
「……そういうことなら、心置きなく手伝えます」
俺が言う前に、天王寺さんが言ってくれる。
おお……流石というか……!
「わ、私もっ……!」
なっちゃんもそれに同調する。
……大丈夫? 無理してない?
そんなことを思いながら。
「俺も手伝わせて下さい」
そう言って、俺も頭を下げた。
「次の方、逢坂様方、どうぞ」
そして。
俺たちは、口利きをして貰った。
本来は数年待たないといけない占いの順番待ちを、次の日にして貰ったんだ。
……ちょーっとだけ、気が咎めた。
こういうの、俺は嫌いだったはずなんだけどな。
……背に腹は代えられないって奴なんだけど。
昔読んだ小説の話を思い出す。
戦後の中国で、無法状態の真空地帯で。
家族を守るために強盗に手を染めてしまう教師の話を。
……それに比べれば可愛いものだろうけどさ。
本質的には似てるよな。この状況。
今日は朝一番にこの占い館にやってきて。
そして言われるままに待合室で待機して。
今、名前を呼ばれたんだ。
病院の待合室みたいな、絶妙な広さの、ソファの集合部屋から俺たちは出て行った。
いかにも占い関係と思えるような、青色のローブみたいな衣装を身に着けたお姉さんに連れられて。
俺たちは豪奢な扉の一室に通された。
「ここです。最後にボディチェックを」
俺たち3人は万歳をした。
身体をポンポンされる。
でも。
……凶器持ってなくても、大阪スキル使いだったらあまり意味無いよね。この行為。
そう思ったけど、俺は黙っていた。
そんな要らんツッコミして空気悪くしてもなぁ。
……そばに女の子がいると、そういう行動を起こしたくなる衝動がだいぶ抑えられる。
冷たい目で見られるのが嫌だという意識が働くためかね。
ボディチェックが終わった。
「では、どうぞ」
許可が出たので、入室。
……中は板間の部屋で。
奥の天井近くに神棚があった。
そして奥の方には、目隠しみたいに。
簾みたいなものが掛けられている。
時代劇で、帝の姿を隠すために掛けるみたいなやつ……。
……神秘的な道場って感じの部屋だな。
中央に座布団が3つ用意されていた。
……座れってことか?
そう思いながら、俺たちは道場の中央に歩み出て
「座りなさい」
……迷う前にそう言われたので、俺たちは座った。
3人並んで座る。
……緊張するなぁ。
占ってもらうだけで数年待ちの占い師……
その効果は保証されてるという。
どんな人なのか
すると
「……よくいらっしゃいました」
この道場の奥の簾……そこから声が聞こえて来て。
こう、言ったんだ。
「……大阪スキル発動」
来た……
何の大阪スキルなのか分からないけど。効果は間違いない。
らしい……
そして待っていると、簾から
むむ、とか。
はぁー、とか。
ほっ、とか。
声が漏れて
唐突に
「……出ました」
ええ?
俺たち、何を占って欲しいか言って無いよね?
それが分かったってこと?
……ここで俺は、この占いを信用することにした。
この占いは当たる。絶対に当たる。
言わなくても占って欲しい内容が見抜けるような占い師。
絶対的に信用できるでしょ。
そんな俺の思いを他所に、彼女はこう言ったんだ。
「お答えします……」
そして俺たちは。
淀川の魔女の口から、自分たちの宿題について教えて貰ったのだった。
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