第2話 天井桟敷で見た大学日本拳法
天井桟敷(てんじょうさじき:劇場で、後方の最上階に設けた低料金の席。)
昔はよく、東銀座にある歌舞伎座の「一見席」という、一幕だけを800円で見られるところで観ていました。歌舞伎とはどんなものかを知ろうという初心者と、「待ってました !」「○○屋 !」なんて、大きな声で掛け声をかける通の人とが一緒になって観る席。ベンチはあるのですが、込んでくると、ギュウギュウ押し込まれて、ほぼ立ち見状態。でも、一般の観客席で取り澄して観劇するのとは違う、面白みや興奮がありました。
フランス映画「天井桟敷の人々」とは、単に観客として観劇するのではなく、芝居に溶け込んで役者と一体化し、その演じる人生を、まるで自分の人生の如くにのめり込む(感情移入する → 鑑賞)という、いかにも自我(の観念)が強いフランス人らしさを知ることができる映画です。
昨年と同じく今年の大会も、三位決定戦・決勝戦が行なわれるマットのすぐ上の観客席、その通路で立ち見をすることができたのですが、今年の「天井桟敷で見た大学日本拳法」は、過去に観てきた大会では得られなかった大きな感動と共に、強い感心や深い関心を呼び起こしてくれました。
芝居でも大学日本拳法の試合でも、横にいる観客や後ろから覆い被さるように響く観客のどよめきや声援という「観劇・観戦環境」あっての「鑑賞」になると実感した次第です。
今回はその意味で、技術で観る大学日本拳法ではなく、よりスピリチュアル(精神的・霊的)、尚且つフィロソフィカル・哲理(人生や世界の本質にかかわる深い道理)的な大学日本拳法の楽しみ方ができました。(まあ、大学時代から技術なんてなかった私ですから、毎回このパターンなんですが。)
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