第29話
摩訶不思議 二十九章
一二三 一
隆が当時居住していた大阪北部の
新興住宅地。
ここへ通じる道路で有ったお話し
をします。
(一)
当時隆は大阪の北部の新興住宅地に住んでいました。
その新興住宅地は大阪では有名な心霊スポットがすぐそばに有ります。
隆はサラリーマン時代のピーク期に入っており、X先生の仕事が夜遅くなることも多く、大阪市内よりタクシーに乗車しての深夜帰宅が増えていました。
その頃よく乗せて頂いたタクシーのドライバーさんでK山さん。
この方とも不思議なご縁で繋がりました。
X先生の仕事で遅くなりタクシーに乗って帰宅する事になった隆。
当時沢山あったワンコインタクシーに乗ります。その車がK山さんの車でした。
大阪市内より約1時間の乗車です。
その間色々な話をしている中で隆が尋ねたそうです。
「タクシードライバーの怪談話をよく見聞きするけど、K山さんはそんな経験されたことがありますか?」
「隆さんは幽霊や心霊現象を信じる方ですか?私は信じています。こんな事を言うと笑われるかもしれませんが見える・聞こえる人間です。ですから、いろいろ不思議な経験もしています。」
「これから隆さんをお送りする道でもよく見ますよ。途中にある霊園の入り口で。」
隆はK山さんの言葉を聞いて強い親近感を感じたそうです。
この人となら打ち解けて話ができると。
「信じますよ。私もK山さんと同じで見える・聞こえる人間なんです。」
「いますよね。あの霊園の入り口の所。」
「女の人がよく立っていますよね。」
「ええ。白い服を着たロングヘアーの女性をよく見かけますね。」
「雨の日に通ると必ずと言っていい程見かけます。それとあの道にも何かしら因縁みたいなものが有るように思います。」
「カーブは多いですけれど、あんなに事故が起きる程の道では無いのにしょっちゅう事故していますよね。」
確かにそう言われると事故がよく起きる道で毎月事故が起きている。
隆の記憶では3週連続でほぼ同じ場所で事故が起きている。
山肌に突っ込んだり脱輪といった単独事故のケースが多いのだが、時折車同士の正面衝突のような大事故も起きている。
通い慣れている人が多い道なので危険なポイントはみんな知っているはずなのに事故がおきる。
大阪方面より新興住宅地へ向かって最後のカーブ。ここは直角に近いカーブで、その場所で大型バイクが曲がり切れずに隆の車の前に飛び出してきたこともあった。
前にお話しした予知能力のおかげで、スピードを緩めていた隆は衝突を避ける事ができ、バイクの運転者は申し訳なさそうに深々と頭を下げ謝罪した。
そんな話をK山さんと話すうちに車は問題の道へと差し掛かって行く。
隆がザワザワ感を感じる。それとほぼ同時にK山さんが隆に言った。
「隆さん、今日はいますね。そんな感じがあります。」
「そうですね。私もこの道に入った所からザワザワ感がしています。」
「きっといるでしょうね。」
車が霊園の前に差し掛かる。二人同時に
「立ってますね。入口の橋の左側。」
車は何事も無かったかのように霊園の前を通り過ぎて行く。
これ以降K山さんに幾度となく乗せてもらったが、3回に1回は霊園の入り口に立っている白い服を着て髪の長い女性を見ている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます