第2話
摩訶不思議 二
(一)
夏休みに姉と二人でした、あの恐ろしい経験はいったい何だったのだろうか・・・
今思えば、あの日を境に不思議体験をよくするようになっていったようだ。
ザワザワ感も強い時や弱い時があり、時には手が震える時もある。
これを読んでいる皆さんの中にも、予知夢を見たり、これから起こることが事前に分かるといった経験をされた方がいらっしゃると思います。
隆の見る夢はいつもカラーで朝起きても記憶に鮮明に残っている。
占いをされる方によると夢にも色々あるようなのだが、隆はどんな夢を見るのだろうか?
幼少期から現代までよく見る夢は、どんどん、どんどん落ち続ける夢だそうです。
これが何を意味するのかは諸説ありますのでこれを読まれた方の想像に任せますが、隆は否定的には捉えていなくて、何らかの警告ではないかと考えているようです。
隆は予知夢もよく見るそうです。
中学生の頃に新聞配達の人が殺される夢を見て、その日に新聞配達の人が殺され、次の週に〇〇さんと言う苗字の人が殺される夢を見て、翌日〇〇さんが殺されました。
隆にはこういった予知夢以外にも自分の身に起きる、起こるかもしれないことを予知する能力があるようです。
特に自分の身に危険な事が迫っている場合か、霊的な要因がある場合には、必ず先のザワザワ感があります。
ザワザワ感のあった予知についてお話しましょう。
ザワザワ感のある予知は漠然としたイメージではなく、はっきりと頭に浮かんできます。
隆が自身の能力に気が付いたのは小学6年生の時で、その頃隆は肋膜炎を患い3か月の入院生活をしていました。
入院中に不意に以前感じた胸騒ぎ・・・
あのザワザワ感が沸き起こってきました。
凄く嫌な感じで、自分の身に何か起きるのかなと思ったと隆は当時を振り返っています。
もっとも、すでに入院しているので、自身の身に何かは起きているのですが・・・
(二)
隆は夜中にふと目を覚まし、トイレに立った。寝る前に感じたザワザワ感が一層強く感じられる。何だろう・・・
トイレを済まして手を洗っていると、鏡の中を人が横切った。あれっ?トイレには僕一人しかいないのに、今確かに鏡に自分の背後を横切る人影を見た。
急に怖さを感じて病室に急いで戻って布団を頭からかぶって眠りについた。
翌朝目覚めた時にはザワザワ感は無くなっていた。夜中に起きたことを看護師さんい話すと「気のせいよ」と相手にされなかったが、話を聞いた時の看護師の顔が少し強張っていたことを隆は見逃さなかった。
何かあるのかなと思って、様子を見に来た母親に話した。母親は「前に渡した数珠は持ってるね?」と尋ねた。数珠は急な入院騒ぎだったので、自宅の机の中において来ていた。
それを聞いた母親は「明日持ってくるから、今夜またザワザワしたら目を閉じて、耳をふさいでザワザワがなくなるまでじっとしておくように」と言い残して帰っていった。
病室の窓から街に帳が降り、あちこちで灯りがともり始めた。その様子を眺めていた隆にザワザワ感が沸き起こってくる。
「またや・・・」隆の脳裏に昨夜の出来事が蘇る。母親に言われたことは分かっているが夕食を終えたばかりでまだ寝るには早い。
隆はよくナースステーションへ遊びに行く。ナース達も相手が小学生なので邪険にはしない。ナースステーションで小一時間過ごしたが、その間もザワザワ感は止まらなかった。
病室に戻りベッドに入った。やはりザワザワと嫌な胸騒ぎが続いている。
何とか眠ろうと布団を頭からかぶり目を閉じた。どれくらいの時間が経ったのだろう。
隆はいつの間にか眠っていたようだ。
何時か見ようと身体を起こしかけた時言いようのない感覚が隆を襲った。
誰かが傍にいる。誰だかは分からないが、ベッドの横に誰かがいる気配がある。
ナースさんだったら声を掛けてくれる。
天井の蛍光灯は消えて常夜灯が点いているので、消灯時間は過ぎているようだ。
こんな時間に誰も来るはずがない。
一層の恐怖が隆を襲う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます