無限の手
「さて、あそこにいるのが『無限の手』だ」とマサムネさん。
「みんな、気を引き締めていくわよ」
「アリス、大丈夫。何かあれば私が『ヒール』で癒すもの」
「こりゃ、心強いね。さっきの仕返ししてやるぜ」
アーサーは張り切っているが、本当に大丈夫なのだろうか? 序盤のボスの人喰い花でさえ、あんなに苦労したのだ。人数が多いとはいえ、一抹の不安が胸をよぎる。
「かなり接近するまで向こうからは攻撃はこない。まずはアリスの『メテオ』とアキラの『ブリザード』で先制攻撃だ。そこへ俺たちが盾役として前線に出る。そして相手が弱ったところをアキラの『スリープ』で仕留める、これでいいな?」
ジョージが作戦を復唱する。
「問題ない。それで行くぞ」
マサムネさんがゴーをだした。
無限の手は眠っているのか、人間体を数多くの手で覆い球状になっている。
「私が合図するから、アキラもタイミングをあわせて『ブリザード』をお願い」
「もちろん。あと、『スリープ』のタイミングは経験豊富なマサムネさんとアリスに任せる」
「その方がいいわね。さあ、いくわよ」
「『メテオ』」
「『ブリザード』!」
二つの魔法が無限の手を直撃する。
「次は俺たちの出番だ。気張っていくぞ!」
盾役の三人が前線に踊りでる。
無限の手もこちらの攻撃を受けて戦闘態勢に入った。数えきれないほどの手がにょきにょきとこちらを狙っている。
「一気に畳みかけるわよ!」
アリスがそう言った瞬間、素早く無限の手が襲って来る。盾役の三人の防御をあっさり抜けてきた!
「『メテオ』」
手によってアリスの攻撃はバランスを失った魔法は、僕たちにも空から隕石群が降ってくる。
「くそ、あっさり突破されたぞ。どうする?」
「アーサー、焦るな。奇襲したときのダメージが奴には残ってる。地道にいくぞ」
それからはあっという間だった。連携よく動いた僕たちの前に無限の手はなすすべもなく、あっさりと討伐できた。ただ、こっちのパーティーはダメージが大きい。対してアリスたちは無傷に近い。これが場数の差か。
「さて、簡単に片付いたわね。『メテオ』」
「え?」
アリスの「メテオ」が僕たちを襲う!
「気でも狂ったか。なにしやがる」
マサムネさんは「プロテクト」で僕たちをかばう。
「お前たち、馬鹿だな。俺たちがあんな雑魚にてこずるわけないだろ。お前らにダメージを蓄積させて、不意打ちする。これが俺たちの真の目的さ」
アーサーが邪悪な微笑みを浮かべて言う。
「なんてやつらだ。お前たちも『プレイヤー狩り』だったとはな!」
「あらやだね、あんな卑怯者とは一緒にしないでくれる? 私たちは経験値が欲しいんじゃなくて、アキラを始末したい、それだけだから」
僕を始末したい? どういうことだ?
「それにさっきの一戦、二回目の『メテオ』はバランスを失ったふりをして唱えたの」
かなり狡猾だ。
「アキラは『スリープ』を使えるわ。これは厄介よ。あなたたちが『プレイヤー狩り』になったら、プレイヤー全体の脅威よ」
「アキラはそんなことしないわ。現にあなたたちに『スリープ』を使ってないじゃない」
ミホが負けじと言い返す。
「結構。最後に立っているのは私たちだから」
「スリープ」の使用可能や回数、残り二回。
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