恐るべき事実

「アキラ、この前の『プレイヤー狩り』で学んだよな? 相手が誰だろうと、出し惜しみをするな!」

「言われなくても。『スリープ』」

 まずは戦闘経験の少ないアーサーを眠らせる。人数で有利になるのが先決だ。アリスは手ごわいから簡単には「スリープ」が当たらないはずだ。

「やってくれたわね! ジョージ、前線は任せたわよ!」

 ジョージは巨体だが、それ故にスピードは遅い。マサムネさんが対応できる。そうはいかなかった。ジョージは巨体に似合わずスピードが速い! マサムネさんはジョージの体当たりであっさり吹き飛んだ。


 こっちの残りは後衛の僕と支援役のミホだけだ。まずい。

「『ブリザード』!」

 ジョージの足元めがけて放つ。狙い通り、ジョージはその場に釘付けになった。

「『スリープ』」

 これで残りはアリス一人。だが、「スリープ」の残数はゼロだ。アリス相手にどう戦うか。

「『クラッシュ』。アキラ、ぼさっとしないで、『ブリザード』よ!」

 そうだった。アリスが地面に叩きつけられた今がチャンスだ!

「『ブリザード』」

 アリスは恐怖の表情を浮かべたまま、氷像になった。


「しかし、こいつらをどうするかだな。まあ、俺はこのままでもいいと思うが」

 マサムネさんは顎をさすっている。ジョージの体当たりによる痛みがとれていないようだ。

「しゃくだけど、それでいいわ。どうせ、アキラがそう言うだろうし」

 ミホの言うとおり、僕はそう考えていた。満場一致だった。


 しばらくするとアナウンスが流れた。

「お知らせです。ただいまより、大地の淵のスピードをあげます。これにより伸びる大地はありません。つまり、この世界は狭まるだけになります。また、魔王を大地の中心に固定します。生き残りたいプレイヤーは中心で魔王討伐を目指してください。もちろん、魔王が討伐されたらプレイヤー全員をこの世界から解放します。では、善戦を祈ります」

 最後のセリフは僕たちを嘲るかのような口調だった。


「オンラインゲーム製作者の特権だな。まさかここにきて、こんなテコ入れをしてくるとは」

 マサムネさんが唸る。

「でも、これってチャンスじゃない? プレイヤー全員が魔王討伐に向けて一致団結すれば、討伐も不可能じゃないわ」

「簡単にいくかなぁ。まあなんにせよ、大地の中心にに向かうしかなさそうだね」



「スリープ」の使用可能や回数、残りゼロ回。

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