第5話 出逢い
綾花は、ネットを眺めながら考えていた。
彼氏が出来ても、すぐ上手くいかなくなるのは、自分に原因があるのではないか。
私への不快感を持たせるようなことを、知らないうちに彼にしてしまったのではないかと。
いくら考えても答えは見つからない。
友達に相談しても、綾花が満足する答えは貰えなかった。
一人ベッドで携帯電話を見つめながら、背中を丸める。
無性に心の内に秘めている思いを、どこかに吐き出したくなった。
ふと、先日お別れした彼を思い出した。
『そうか。その手があった』
綾華は“ひとりごと”をSNSに綴るようになった。
「付き合うと、すぐ振られる」
「友達に愚痴っても心が晴れない」
「嫉妬したくなかったのに」
「愛が重かったのかな。ごめん」
「寂しい。恋したい」
毎日、思い立った時に綴る日々は、綾花の心を安定させた。
以前は、彼と他の女性のやり取りばかり気になってネガディブなイメージしかなかったけれど、次第に楽しくなってきた。
誰にも読まれなくても、ここは私だけの居場所だから──。
ネット上で、おひとり様を満喫していた綾花の元に携帯電話の通知が届いた。
『あなたのコメントがイイネされました』
どんな人がイイネをしてくれたんだろう、と、はやる気持ちを抑えきれなくて、早速アプリを起動して確認してみる。
相手の名前は『雪』というハンドルネームだった。
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