第3話 ふぅ。

詰んだ。


騙されていた気がする、あの女に。

気付くのが遅過ぎたのは、人の上っ面しか見ていなかったから?

言い訳したって、後の祭りだ。


最初から違和感があったんだ。

彼女が親友を紹介したいと言ってセッティングされた居酒屋に行った時、彼女が席を外していたのを見計らって、あの女は俺に近寄ってきた。

彼女の事で相談があるから連絡先ちょうだい、なんて、普通は友達の彼氏とサシで連絡とる女って時点で気付くべきだった。悩みを聞いているうちに、話題が脱線して、彼女の過去の異性関係に発展した。本人に聞きたくても聞けなかった関心事だった。それを一気に饒舌に要領良く話してきた。まるで聞かれるのを事前に悟っていたかのように。


「あの子はね、ヤリマンなの。あちこちの男性を同時に誘ってるんだよ。その証拠に、今日は会えないって断られたんでしょ?彼女の携帯の位置情報をググったら、今は渋谷のラブホにいるみたいよ。ほら、携帯見てー?あーぁ、騙されちゃったね」


そう言いながら、ちらっと携帯画面の地図を見せてきた。僕は汚いモノを見させられたように思えたし、プライドを傷つけられたから、凝視出来なくて目を背けた。今、思い起こせば、いくらでも加工画像は作れる。彼女の一番の親友だというから、すっかり信じ込んでしまっていた。

その日のうちに、あの女と寝た。欲をぶつけ合うセックス事後は、会わなければ良かったという後悔だけを残した。


信じなければいけない相手は、『彼女』だったんだ。

今更、もう元には戻れないだろうか。


そして、『あの女』の目的はなんだ?

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