第2話 ふぅん。

綾花あやか、で、あの彼氏とは、どうなったの?」


 友人の紗良さらとファーストフードでハンバーガーとポテトを頬張っていた。

喧騒の中で話せば気分が紛れる。


「付き合ったら、急に上手くいかなくなった。私ってそんなに魅力無いのかな。悲しい。ホント泣きそうだよ」


「矛盾してない?どうして自分から離れちゃったよね?急に相手に連絡しなくなったりさ」


「それは……私の事だけ見てて欲しいのに、よそ見しようとするから。SNSとかで他の女子と気軽にやり取りしてるのをたまたま見ちゃったりして。イラっとしない?そんなの見たら。見なきゃいいのに見ちゃうんだ。止まんない。自制出来ない私が悪いのは分かってるよ。裏垢とか鍵垢で女の子と接触してるのかもしれない……と考えたら、自分では感情制御出来なくなって、どんどん堕ちていく。会った時に彼に不機嫌な態度取っちゃって、思ってた事は伝えられなくて、本当の理由を話さないで疑心暗鬼になっちゃって信じられなくなって。終わっちゃった」


 紗良は黙って綾花を見つめる。

 暫く二人は冷めたハンバーガーを半分食べ終えた頃、紗良の携帯電話が一瞬鳴った。

 画面が、たまたま表向きになっていたので、二人は携帯電話に目を落とした。


『雪』からの着信。


「雪って誰?私の知らない子?」


 紗良は綾花の学生時代からの親友だ。

 今まで何度も何度も恋バナをしてきた同志でもあるし、お互いの交友関係で知らない者はいない。

 尚更、『雪』という名前に違和感を覚えた。


「あぁ、後輩の友達だよ。綾花は知らないと思う」


「ふぅん。急ぎの連絡なんじゃない?今、電話してきてもいーよ」


「……気にしないで。それより綾花の事が気になる。話聞くよ」


 紗良は優しいから、いつも最優先してくれて悩みを聞いてくれる。

 見た目は長身の私ほど目立たないが、顔立ちが整っていて小柄で可愛らしい。

 私の心の拠り所なのだ。

 話を聞いてもらうと、帰宅する頃には胸のつかえが取れる。

 その後、めいいっぱい愚痴を聞いてもらい、満足げでファーストフード店を後にした。


いつも聞いてくれて、ありがとう!紗良!

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