第3話

 ソファに寝そべっていた俺の前に、突然勇士郎が現れた。


 見た目は可愛らしい女の子だが、その言動は男の中の男といった感じで、どこか頼もしさすら感じさせる。


「おい、夏樹。なに寝転がってんだよ」


 勇士郎の声に、俺はびっくりして飛び起きた。まだ心臓は楓花や櫻子のことでバクバクしていて、興奮が冷めやらない。


「勇士郎、お前…いつからここに?」


「ちょっと前からな。お前、すっかり夢中だったみたいだな」


 勇士郎は苦笑いを浮かべながら、俺の隣に座った。その瞬間、俺の心は一気に高鳴った。


 勇士郎の可愛らしい外見とは裏腹に、彼女の男らしい振る舞いがなんとも言えず、俺を惑わせた。


俺は無意識のうちに勇士郎に近づいていた。だが、彼女はすぐに俺の手を掴んで制止した。


「おいおい、夏樹。落ち着けよ」


「勇士郎、ごめん、なんか…」


「分かってるって。でもな、この町では愛負をせずにそういう行為に及ぶのは条例違反なんだ。俺は愛負実行委員だから、そういうのは見逃せないんだよ」


 勇士郎の言葉に、俺はハッと我に返った。そうだ、ここは愛負の町だ。勇士郎が愛負実行委員だったことを思い出した。


「すまない、勇士郎。ちょっと取り乱してたみたいだ」


「気にすんなよ。でも、明日の愛負はしっかりとな」


 勇士郎の言葉に俺は頷いた。彼女の存在が、俺を落ち着かせてくれた。


「ありがとう、勇士郎。明日、しっかり愛負するよ」


 俺は深呼吸をして、心を落ち着けた。勇士郎の隣で、俺は少しの安堵を感じながら、明日の愛負に向けての心構えを新たにした。

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