そのころの外界

「はぁ…はぁ……チートが無かったら死んでるぞ…」


「地獄だ……」


「この奥にいるのってダークドレアムじゃないよね…」


「ははは……面白くない冗談だ…」


始原の王妃の住まうこの大地……この地に踏み入れたのは勇者PTだった。彼らはそれぞれ英雄としての功績を挙げ、旅をしてる中出会い、行動している。彼らは例に漏れずに転生者であり、チートを貰っていた。この周囲以外の場所にいる魔物を露払いできる程度に無茶苦茶な能力をさずかってる彼らでさえ、この大地は地獄でしかない


「珍しい!魔物だべ~!」


「っち!」


前にこの地を訪れた転生者と、彼らの違い……それは覚悟だった。人間相手でも寄らば斬る!というハッキリとした殺意を常に保ち続けること。彼と彼らの大きな違いだった


「ホントになんだってんだ……」


ただでさえ異様な力を持ってる魔物の相手をしなければならないが、人に近い彼らも現れること……それが一番の問題だった


「幸いなことに方角を見失わないことに感謝しないとね」


彼らの目的地は、彼と同じように魔王城としか言えない建造物。彼らの中ではストーリーを終えている。今やってるのは、裏ボスへの入り口……。そうした認識も彼らが油断しない支えになっていた


_____


「いや~!やられたべぇ~!」


「んだんだ!」


「皆さん気を付けてくださいね。いくら死なないからって油断し過ぎです」


転生者が4人も生まれる時間の中、魔族と始原もまた……変化があった。マイルームの魔力が更に増えたことによる影響が彼らを襲っていた


「しっかし不思議ダベ~…死んでもここに帰っちまうんだから」


世界を一つ作る魔力、世界を侵食するそれをただの人だった彼らが浴びた影響は文字通り魂の在り方を変えてしまった……。王妃を含む彼らの魂は、輪廻から外れこの魔力の地に繋がれていた。肉体と魂の境目すら魔力に塗り固められた彼らは死んでしまえば、この魔力の根源である王妃に還ってくる。彼らの魂は肉体が滅びてもなおこの魔力の地に還り、再び魔力により生まれ直すのだ……。単純な不老不死ではない…死んでしまっても同じ身体で同じ場所に生まれ直してしまう。もはや彼らは生物としての在り方すら破壊されていた


「しばらく休んでいてくださいね」


ただでさえ、異常な魔力により危機感のなかった彼ら……。それに今度は死なないという状況が加わったことで、彼らから恐怖や反省という学習を行う必要性が無くなっていた


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