第8話 影武者の成果
もうそろそろ、私の影武者をしているお母さんが帰ってくる。私とビアンカさんは、玄関で待つ事にした。
「ただいま~。って、2人ともどうしたの?」
お母さんが家を出る前にちゃんと確認したけど、鏡で映したようにソックリだ。声に違和感があるけど、ビアンカさんは同じと言ったから多分そうなんだろう。
自分と他人では、声の聴こえ方にズレがあるらしい。どこで知ったかは忘れたけど…。
「家に着きましたし、お母様を元に戻しますわ」
お母さんの後方からフローラさんの声が聞こえたので見ると、彼女は滞空状態で姿を現した。魔法を解いたみたいだね。
…お母さんが光に包まれたかと思うと、それはすぐに消えた。
「ふぅ。おばさんだろうと、元の姿のほうが落ち着くわ」
私とお母さんの身長差はほぼなく、体重はお母さんの方が少し多いけど、制服のサイズには多少の余裕があるから問題ない。
「柚子が玄関にいるって事は、わたしに何か用なんでしょ?」
「まぁね。今日の事を訊きたくて…」
「ちゃんと話すから安心しなさい。その前に着替えさせて」
「わかった」
お母さんは自分の部屋に向かうので、私・ビアンカさん・フローラさんはリビングで待機する事にした。
着替え終わったお母さんがリビングに来た。4人掛けのテーブルで空いているのは私の真正面しかない。必然的にそこに座る事になる。
「わたしなりに、あんたの友達とうまくやれたと思うわ」
「そっか。それなら安心だね」
さすがお母さんだよ。
「勉強面に関しては、魔法で透明になっているわたくしがフォローしました」
お母さんの隣に座っているフローラさんが言う。
「ありがとうございます」
「先輩。柚子さんの魔法の進捗はどうですの?」
今度は私達が話す番だね。
「あたしの予想以上に優秀でね。1か月かからずに終わりそう」
「柚子にそんな才能があったのね…」
「お母さん、才能は大袈裟だよ。英語と同じノリで勉強できただけだから」
「調子に乗ってなくて良かったよ。柚子っち、これからも頑張ろうね!」
「はい!」
それからというもの、私とビアンカさんは部屋でひたすら魔法の勉強をした。時には人目の付かない場所にワープして、実際に魔法を放った事がある。
お母さんとフローラさんコンビの心配はなくて一安心。毎日はしつこいと思うので、数日おきに進捗を訊いている感じだ。
お兄ちゃんがリビングにいる時にビアンカさんは彼によくベタベタするけど、あそこが大きくなる様子は見られない。
私が知らない間に大きくなってるかもしれないけど、やっぱり目の前で大きくなって欲しいよ…。
魔法の勉強とビアンカさん・フローラさんのホームステイから3週間後。ついに私は、ビアンカさんが指定するエロ魔法を全て覚え切った。
安心感と同時に疲労感が押し寄せたので、ベッドにダイブする。
「柚子っち、お疲れさん。後は覚えた魔法をお兄ちゃんにかけるだけだね」
ベッドのふちに座っているビアンカさんが言う。
「それなんですけど、いつかければ良いんでしょうか?」
「そうだね~、昼寝してる時なんてどう? バレそうになったら、あたしが何とかするからさ」
起きてる時より寝てる時のほうがごまかしやすいね。
「じゃあ、その時はお願いします」
「任せて」
お兄ちゃんは昼寝好きだけど、毎日寝るとは限らない。早くその時が来て欲しいよ。
―――次回、最終回―――
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