第6話 お兄ちゃんってもしかして…

 今日から『お兄ちゃんのを大きくしよう』作戦が始まる。


私の影武者になるお母さんには、私が仲良くしてる子と呼び方を教えておいた。外見と声は魔法でそっくりにできるけど、記憶はどうにもならないからね…。


肝心のビアンカさんとフローラさんについてだけど“私の高校の留学生が、短期間ホームステイする”という感じになった。お兄ちゃんにはそのように魔法で記憶を書き換えているらしい。


私とお兄ちゃんは別の高校に通ってるから、こういう事ができるんだよね。登下校も別だから、お母さんの影武者もこなしやすい。


運が味方してるっぽいし、絶対成功させないと!



 5人揃っての朝食が終わったので、私とビアンカさんは自分の部屋に戻ってきた。フローラさんはお母さんの部屋に居候する事になっている。


お兄ちゃんも自分の部屋に戻って登校準備をしてると思う。ちなみに、お父さんは単身赴任中なので今回の作戦に影響しない。


「さて、今日から柚子っちのお兄ちゃんの〇ん〇んを大きくするために、天使語の勉強をしよう」


「天使語?」


「そだよ。アニメとかであるじゃん? よくわからない言葉をブツブツ言うの。ああいう感じだね」


英語は他の教科よりできるけど、同じノリで考えて良いのかな?


「時間がもったいないから、さっさと始めようか」



 天使語の勉強は、英語とさほど変わらなかった。単語を書いたり声に出したりする流れだ。休憩を挟みながらも、この2つを繰り返していく…。


そしてお昼になった。お母さんがいつも私とお兄ちゃんの分のお弁当を作ってくれるけど、今日からはそれが3人分になる。作った本人が高校で食べるからね。


私はキッチンに置いてあるお弁当箱を、リビングのテーブルに置いてから食べ始める。ビアンカさんは正面の席に座って私の食べる様子を観察中だ。


「あたしはこれから昼食べに適当に出かけるからお構いなく~」


「そ…そうですか」

1人かつ見られながらだと気まずい…。


「柚子っちのお兄ちゃんって変わってるよね~」


「えっ?」


「あれだけベタベタしても、全然んだもん」


ビアンカさんは、お兄ちゃんの手を握ったり腕にしがみ付くなど積極的な行動が多かった。あれは様子見だったんだ…。


「柚子っちのお兄ちゃんって、年上好きかなのかな?」


お兄ちゃんがホモ…? そう考えると、私とお母さんの前で大きくならないのも納得できる。私達は女なんだし…。


「それじゃ、あたしもお昼食べに行って来るよ。戻ってくるまで復習しといてね」


「うん」


ビアンカさんは隠していた? 羽を広げ、家の壁をすり抜けて飛翔していった。

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