エピローグ 死滅(しめつ)した人類の皆(みな)さまへ

 ときながれて、現在げんざい、私は複数ふくすうかんドローンをばして研究所ラボ周辺しゅうへん調査ちょうさしています。とうぜんのように、なにつかりませんがべつかまいません。いつかそらから、宇宙人うちゅうじん地球ちきゅう訪問ほうもんしてくる可能性かのうせいだってあるのです。そのときまで私は、研究所ラボ妹分いもうとぶんの彼女と、のんびりスローライフをたのしみたいとおもいます。


相変あいかわらず、屋内おくないでゲームばかりですね。たまにはそとてみませんか。やまのぼりも経験けいけんしてみれば、たのしいものですよ」


いやですよぉ、滑落かつらくして身体からだ損傷そんしょうしたら大変たいへんじゃないですか。修理しゅうりのための資源しげんかぎりがあるんですから」


 なるほど、屋内おくないでゲームをしている彼女のほうが、私より合理的ごうりてきです。やまのぼりをしたがる私のほうが、ロボットとしてはわっているのでしょう。いとおしさをかんじて、私は彼女のあたまでていました。あの山小屋やまごやってからというもの、私は人間的にんげんてき仕草しぐさおおくなったがします。


なんで、私のあたまでるんですかぁ。ゲームへの妨害ぼうがい行為こういですか?」


「ただ貴女がいとおしいからです。あいしてますよ」


「ふえっ!? 百合ゆりゲームでましたよ、そういうセリフ。私に百合ゆりゲームをあたえたのは、まさか、そういうねらいが?」


 なんだか彼女があわてています。私はたんに、むかしのアドベンチャーゲームのひとつを再現さいげんしてみただけなのですが。なに不快ふかいおもいをさせてしまったのでしょうか。


さわられるのがいやでしたか。だとしたらもうわけありません」


「いいえ! いやじゃないです、いやじゃないですよぉ! ただ、ゲームちゅうじゃなくて、もっといた雰囲気ふんいきときやさしくしてください……」


 後半こうはん小声こごえで、ごにょごにょと彼女がってます。かりませんが、彼女がおこっていないのなら一安心ひとあんしんです。




 死滅しめつした人類じんるいみなさまへ。こうびかけても会話かいわはできませんが、パラレルワールドから私の世界せかい人類じんるいおとずれる可能性かのうせいもゼロではありません。ですからびかけてみましょう。


 私の世界では、人類じんるい死滅しめつしたようです。そちらの世界はどうでしょうか。こちらで人類じんるいほろびた理由りゆうは、詳細しょうさい不明ふめいです。きっと色々いろいろと、限界げんかいむかえたのだとおもいます。たとえばバベルのとう自重じじゅうえかねて崩壊ほうかいしたように。


 私は人類じんるいみなさまへ、ばしてみます。そちらからもばしてみてください。からへ、あいつたわるかもしれません。


 たとえ世界がほろびるとしても、何処どこかのだれかへあいつたえることには価値かちがあると、私はしんじています。すくなくとも私は、あいつたえられたことでなにもかもがわりました。ですから、世界がほろびるまえからあいつたえていけば、きっとなか改善かいぜんしていくのでしょう。以上いじょうびかけを終了しゅうりょうします。

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