第26話
暇な時間さえできればすぐにチェックするSNS。フォローしているヒーラーさんが近々パワーストーンのブレスレットを発売するらしい。
キラキラと輝くストーンに胸がキュンとなる。こ、これは欲しい!!しかも自分を愛したい人向けらしく、私にぴったりだ!
値段を見て少々、うっ!となったがまあいいだろう。縁があれば買える!
「はい、コーヒー。」と彼が持ってきてくれた。
「ありがとう〜!」
「あれ、なんかご機嫌?これインスタントコーヒーだけど。しかも前にビジネスホテルでもらってきたやつ」
「あはは。いや〜、このブレスレット素敵だなって思って」とスマホの画面を彼に見せる。
「ふーん。いいんじゃない?でもこういうデザインって普段着てる洋服に合う?」
「あわないんだけどさ、今まで買った物はその日の気分でポーチに入れて持ち歩いてるんだ!」とカバンからポーチを取り出してパワーストーンのブレスレットを見せる。
「これも可愛いでしょ?色も好みだし、頑張りたい時のエネルギーチャージになるんだって!今度欲しいのは自分を愛したい人向けらしい!」
「へ〜、いろいろある物だな。俺、タイガーアイしかしらないや。昔お土産屋さんで買った」
「これはね、好きなヒーラーさん手作りだし、可愛いし、自分を大切にしたいから欲しいなって!」
「いいんじゃない?確かにキラキラして好きそうだもんね。っていうか自分を大切にしたいときってパワーストーンとか必要な物?」
ハッとする。
「ご、ごめん、どうした?俺、悪いこと言った…?」
急に黙り込んだ私に彼が慌てて謝る。慌てる顔も好きだな。そう思うのもまだ付き合ったばかりだからかな…。
「いや、何もないよ!ちょっと気付いたことがあっただけ。こちらこそごめん!」
自分の世界に入ってしまいそうだったので一旦置いとこう…。
食事やお風呂も済み、彼はゲームをしていてそれぞれの自由な時間。私はゲーム画面を見ながら先ほどの言葉を考えていた。
「自分を大切にするのにパワーストーンは必要?」
近頃すっかり物に頼りきりになっていた。頑張りたい時のパワーストーン、スピリットに目覚めるミスト、自分と向き合える手帳。
ただ持っているだけ、やっているだけでスピリットに目覚めて自分らしく生きていけるわけじゃないのに…。買っただけで、もう大丈夫。と安心しきっていた。しっかり物質の世界で生きてしまっていた。
これも気付きだなあ。
欲しかった自分を愛したい人へのパワーストーン。買うかどうかは迷いが出てきた。
今お金をかけずにすぐできる自分を愛する方法ってなんだろう。うーん…少し肌寒いからブランケットをかけよう。いつもなら面倒で我慢してしまう程度だけど。
いろいろなスピリチュアルのグッズもいいけれど、普段からすぐできる小さい事を自分のためにやってあげよう。こつこつと自分を愛してあげようと思った。
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