第25話
せっかくの平日休み。それなのになーんにもやる気が出ない午後。なんとか体を動かしてスイッチを押した洗濯機がゴウンゴウンとまわっている。今更洗濯をして外に干しても乾くだろうか…。
どこも人が少ないだろうから出かけよう!と思っていた。昨日の夜までは。
だけど結局家が出ていない。だらだらとパジャマのままだ。ゴロゴロしながらYouTubeでタロット占いを見て、Instagramでスピリチュアル系アカウントのアーカイブを見ていた。家から出ないでも情報が得られるいい時代だ。ふわぁーとあくびをした。
ぼーっとしている。瞑想とかそういうのじゃなくて何も考えられないって感じ。
……なんだか忘れていたけど、私ってとても大切で完璧な存在だった。そうだった、そうだった。
急に思い出して頭がハッキリスッキリしてきた。スピリチュアルが好きなくせにたまに忘れてるんだよね、こんな大切なこと。
ぽわぽわと心の中から愛があふれてくる。アニメのプリンセスのように歌って踊り出したくなる。窓を開けて深呼吸して有り余る愛をばら撒いた。ふんふんふ〜ん、と自作の鼻歌を歌って。
そうそう、何もかも完璧で最適なんだ。
さっきまでぼんやりしていたのに急に波動が上がってしまって笑えてくる。いつもこんな感じだったらいいのにな。
今から洗濯物を干して支度して出かけても夕方になるだろう。今日は家で家にある物で自分をご機嫌にしてあげようっと!
冷蔵庫を開けると見事にすっからかんだけど、奥の方にクリップをしてあるクッキーの残りを発見した。一体いつのものかわからないけれどオッケーオッケー!同じくいつもらったか覚えていない試供品のお茶をいれよう。鼻歌だったのに最早しっかりと声に出して歌をうたっている。もちろん作詞作曲自分で、もう二度と歌えないだろう思いつきのメロディー。それでも素敵な休日になりそう。
洗濯の終わりのアラームが鳴り、洗濯機の蓋をパカっとあけると柔軟剤のいい匂いがしてさらにご機嫌になった。洗濯物が乾かなくてもいいや。大丈夫大丈夫!るんるーん!とポジティブになった。
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