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記憶は七歳のクリスマスに起きた悲劇に通じている。
その頃、私の生活はぽん太を中心にして回っていた。
朝起きると眠い目をこすりながらまずぽん太の家に行き、学校から帰るとまた着替えもしないままぽん太のおうちへと直行した。
またひと月五百円のお小遣いもまるまるぽん太のおやつに費やし、ぽん太を小さな箱に入れたままベッドに連れ込んで両親にひどく叱られたこともあった。
それほどまでに私はぽん太に執心していたのだ。
無論、ぽん太は人ではない。
それは当時飼っていたゴールデンハムスターで、その飼育ケージを家、またはおうちと呼んでいた。
唐突だが、私はぽん太を愛していた、と思う。
そんな言い方をすればきっと大半の人が大袈裟だと笑うはずだ。
たかだかハムスター相手に愛などという言葉を使うなんて、と。
けれど他にどう表現すれば良いというのだろう。
今になってあの頃の自分を思い返してみてもやはりそういう言葉でしか表せないほど七歳の私はその小さな動物に執着していた。
ぽん太は売れ残りのハムスターだった。
私が七歳の誕生日を目前にしたその日、私たち家族は外食をした帰り道にふとした父親の気まぐれで、幹線道路沿いにあるペットショップに立ち寄ることになった。
母の後ろについて店内を物色していると小動物コーナーと銘打たれたスペースがあった。そこには大型の鸚鵡や色鮮やかな小鳥たち、あるいは気味の悪いまだら模様の蛇や全身が鎧のようなトゲトゲした皮膚を持つトカゲなどが陳列されていた。
そしてその一画、最も目立たない場所にぽん太はいた。
彼はウッドチップが敷き詰められた透明なケースに入れられ、角隅に身を潜めるようにして眠っていた。
なぜか私の足はそこで止まった。
けれどそのときなにを感じたのか、いまではまるで思い出せない。
すぐ近くに陳列された透明ケースの中にはドワーフ系ハムスターの幼獣が忙しなく動き回ったり、食べ物を頬ばったりしていてその様子はぽん太よりもずっと愛らしく見えたはずだし、さらに見渡せば店内には仔犬や仔猫、フェレット、うさぎ、モルモットなどがいて目移りするほどだったと思う。
けれど私の目はそのときなぜか店奥の目立たない場所で丸くなって眠っていたオーソドックスな茶色と白の、そして商品としてはいささか育ち過ぎたゴールデンハムスターに釘付けになってしまったのだ。
もしかすると幼いながらにそのショーケースに貼られた特価という赤い文字が不憫に思えたのかもしれない。
とにかく当時の私としてはめずらしく執拗に両親に
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