第18話 会談
オリバー・ミュラーとの会談が始まった。
橋の上に天幕を貼ってそこで行うことにした。
金髪に碧眼でスタイル抜群、すっととおった鼻筋といい、眼力といい、乙女ゲームの攻略対象まんまだ。
なにかの宣伝とか〇〇コラボとかだと真ん中に来そうなビジュアルである。
お付きの人の長たらしい演説と100枚のオブラートを引っ剥がすと彼らの要求は、
「降参しろ」
だったので
「断る」
とこちらもオブラートに包んだ返事をする。
なにかゴチャゴチャ行ってきたが、その都度、丁寧に断ってあげた。
2時間(体感)くらい不毛なお話を続けると、オリバーが人払いをするよう命じた。ちなみにここに来て初めて喋った。
お付きの人が躊躇したが、なんどかの押し問答の据え、ゾロゾロと出ていった。
ちなみに僕のお付きはデモンズただ一人だったりする。
このだっだ広いテントでオリバーと二人っきりになった。沈黙を破ったのはオリバーの一言だった。
「ミツハ殿、ここは引いてくれぬか?」
「引くとは?」
「兵を引いて王都に出頭してほしい。そうすれば丸く収まる」
「もう出頭したじゃないですか。お話も1
-取り付く島もないな-
自分で思って心の中で苦笑する。
オリバーが僕を見ながらこういう。
「君は北部平定戦の時に兵も出さずに、真っ先に逃げ出したじゃないか。これはわが国に対しての反抗に他ならないと思うのだが」
-なにいってんだ?-
「無論、私にだって慈悲はある。それに亜人達を配下に置いていることも我が国にとって国益にかなうことだ」
-なにいってんだ?-
「この功績をもって、通常なら斬首のところを国外追放にとどめ、君の部下たちには寛大な処置をしよう」
-なにいってんだ?-
「どうか折れてはくれぬか」
「なにいってんだ?」
思わず口に出てしまった。
オリバーの眉が跳ね上がる。どうやら説得されていると思ってるらしい。
「どういう意味だ?」
たっぷりの間を開けて、『獅子の顔』をのぞかせた王が僕を見た。おおコワイコワイ。
「そのままの意味ですよ」
そう言って腕を組んで足を組む。王の前では絶対にしてはいけない姿勢だが、バカバカしくなった。
「君はこの国のことはどう思ってるのかね?」
怒りの感情をまったく乗せず聞いてくるのはさすがだな。
「どうとは?」
「君はこの国を愛してないのかね?」
「人に濡れ衣着せるような国をどう愛せと?」
-なめてんのか-
といわなかった僕をほめてほしい。
「君は学校の時もそうだった。常に壁を作り、我々に混ざろうとはしなかった。その態度が今の状況を生んだとは思わないのか?」
「まったく思いません」
-僕をガン無視してたのはどっちだ-
といわなかった僕をほめてほしい。
沈黙が流れる。
いい加減終わりにしたかったので、とあることをぶつけることにした。
「ところで、陛下。お子さんは二人いるんですよね?」
そういうとオリバーが明らかに狼狽する。
「なぜ知ってるんだって顔ですね。こう見えても公爵なので」
意地悪く笑ってやった。
「大変ですなぁ。王妃の心をつなぎとめるために無理やり戦争起こして、無理やり人をはめて、『おれが強いぞー』を示さないといけないなんてね」
オリバーの眼光が鋭くなる。
「そちらはそちらで思う存分イチャイチャしてくださいな。こっちを巻き込まないでくださいよ」
ヘラヘラ笑いながら両手を広げる。煽りだ。
「貴様、後悔するぞ!」
そういうと椅子を蹴って立ち上がりテントの外に歩いて行った。
-がんばってね-
僕は心の中でエールを送った。
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