第14話 決着とこれからと(エンノセル平原の戦い 後編)

*双子の名前を変えました。

ラーション・サム → クルト・ラーション

フランコ・サム → ヨハン・ラーション

都度修正していきます。 すいません。

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 敵の部隊指揮官(らしき人)が声を張り上げ崩壊する軍をなんとか押し留めようとするが、そこに弓やら投げやりやら石が集中して躯になる。


ーえげつないー

 

 ヨハン・ラーションは物凄く優秀である。軍隊の指揮も個人の武勇においてもこの国では随一である。なにせ騎士団長になる前に、すでに軍の指揮を任されていたくらいだし、一騎打ちでも数多の敵を屠ってきた。そしてその手腕はここでも発揮されるはずだった。


 騎兵の突撃が止められた時点で、別の指示が出てくるはずだったが、ギドがヨハンに一騎打ちを挑んだおかげで、その指示が出せなくなる。


 どの軍隊でもそうだが指揮官が指揮不能となった場合は次席の指揮官に指揮権が移譲する。

 だが、なまじっかヨハンが優秀なため、周りの人間はその決断ができず、またヨハンが死亡したわけではないので、指揮権を握るわけにはいかなかった。


 その時間を利用しフランクは魔道具を利用し、流言飛語で混乱させる。その後はあたりを暗くして不安を煽り、一筋の光を見せることによってそこに偽の希望を与える。

 敵は囲まれているという不安と指揮官がいつ打ち取られるかという恐怖が、目の前のに縋り付くように仕向けた。


 そしていま、彼らが立て直そうとする行動をとるたびに、フランクは丁寧につぶしていく。


ーほんとうにえげつないー


 どこかの誰かが『戦果の大部分は追撃から生まれる』と言ってたが、まさしくその通りのことが目の前で起こっていた。


「追撃しろ!!」

 フランクが命令を飛ばす。

 ヨハン家やキーガン家の親衛隊は勇敢で統率も取れていたが、この敗走を押し返す力はなかったが、クルト、マルク、それぞれがそれぞれでこの劣勢を挽回しようとしている。


「粘りますなぁ」

 とフランク

「まぁ、ここで踏ん張れば一発逆転もありうるからね」

 ちなみにここでいう一発逆転は僕の首だ。それなので僕は近寄らないようにする。


 敵はこの劣勢ながら、勇敢に戦ってはいるが、なにせ数が違う。また一人、また一人と倒れていく。


 しばらくするとフランクが

「公主様、そろそろお願いします」

 と言われたので、うなずくと

「みんな!!勝ったぞ!!」

 そういうと勝鬨を上げる。そこかしこで雄たけびが聞こえた。


「これより!残敵掃討にうつる!!降伏すればそれでよし。抵抗するなら容赦はするな!!」

 そういって剣を彼らに向けた。


 しばらく彼らは粘ったが、それぞれの親衛隊を盾にして撤退を開始した。


「公主様。逃がしますか?」

「はい、公爵は逃がしちゃってください。残りは身代金をとりますので、なるべく生け捕りに」

 そういうと撤退していく公爵を見送る。

「なぜですか?」

「彼らにはお花ステファニー嬢を目指して存分に争ってほしいからね」

「性格わるいですな」

「うちらの安全のためならなんだってするよ。あいつらのことなんぞ考えれるか」

 僕はそう吐き捨てた。


 後に『エンノセル平原の戦い』と呼ばれた戦いはこうして幕を閉じた。


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イイネ。コメント、お待ちしております。

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