第4話 工作

 王女との会見が終わった次の日に、事前に予約しておいた宰相との会見を行う。

 非公式なものなので、おつきの人は少ない。

「ご機嫌麗しゅう」

 という型通りの挨拶と型通りの雑談。そして宰相殿の鋭い視線を右左に交わしながら、僕の本題にはいる。

「宰相殿、ご結婚はまだですかな」

 虚をつかれたのか少し黙るが

「なかなか良縁に恵まれなくて」

「そうですか?縁談を断ってると聞いてますが。もしかして意中の方がいるのですか?」

 そういうと宰相殿は言葉に詰まった。

「まぁ、いくら家のためとは言え、意中の人がいるのに、好きでもない人と結婚するのは気が引けますよね」

 宰相殿が目を細めるが、特に何をしゃべるわけではい。

「女性はいつも冷静沈着でクールな人が好きらしいですよ。あと、功績をあげられる人には惹かれるそうです」

 しばらくの沈黙。そして宰相殿が口を開く。

「ミツハ殿、それはどういうことですか?」

「一般論ですよ。私も浮いた話が一つもないものですからね。おまけに宰相殿のような頭脳も容姿も地位も持ち合わせておりませんから」

 ヘラヘラと笑って見せると、彼は軽蔑した視線を送ってきた。

「これは、気分を害されてしまわれたようで。謝罪かわりにこちらをお納めください」

 そういうと箱を渡す。

「これは?」

「女性もののネックレスです。なかなかの高級品ですが、僕が使うところはないので差し上げます。有効にお使いください」

 そう言って差し出す。

「そのようなものをうけとるわけには・・・」

 とは言ってたが、強引に押し付けたあと、適当に雑談をして帰ってきた。


 その後、騎士団長と魔法省のトップにも似たような会見を行った。

 ちなみに、騎士団長にはイヤリングを、魔法省のトップには女性ものの靴を押し付けてきた。


 3つの会見が終わるとすっかり夜になった。


 さすがにヘロヘロになったので、二日連続で宿でぐったりしていると、ポルコとエルフェィが入ってきた。


「坊主。上手くいったか?」

 入りざまにエルフィが声をかけてくる。

 僕はベットに仰向けにぶっ倒れながら

「多分。三人が王を出し抜こうと考えてくれたらいいかなと」

「それなりに優秀なんだろ?そんなにうまくいくかね」

「色恋が絡むと人は歪みますからね」

「そんなもんかね」

 エルフィがあきれたようにつぶやいた。


 明日はゆっくりと休んで、明後日からは時間稼ぎが始まる。

 

 そう思いながら目を閉じた。

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