第3話 またまた王都へ

 使者が来てから10日後に僕はすでに王都にいた。というのは昼夜問わずに爆速で駆け抜けたからである。


「とりあえず寝かせて」

 王都に付いた瞬間、ボロ雑巾に成り果てたので、ポルコが用意してくれた宿(というより経営している宿)で文字通りぶっ倒れてる。

「なんじゃ、情けない」

 エルフィは涼しい顔でくつろいでいた。


 ちなみにエルフィは僕よりも頭をひとつ分は大きく、金髪でスラッとした体系である。エルフなのでかなりの美形であり、精霊魔法の使い手である。

 そして、スラッとしてるので出るところも出てない。


「いま、なんか失礼なことを思ってないか?」

「いえ、決してそのような事は思ってません」

 平服する勢いで否定する。

 エルフだから心を読めるのかはたまた年齢のためか。


「いま、なんか聞き捨てならないことを思ってないか?」

「いえ、そのような事はつゆほども思ってません」

 変なことを考えるのは辞めよう。


 なぜそんなに疲れてないのかと道中に聞いてみたら、風の魔法を使って移動したそうな。

 僕にも使って欲しいとお願いしたら

「若人は苦労するものだ」とかわけのわからん理由で断られた。


「坊主、これからどうするんだ?」

 優雅にくつろぎながらエルフィが聞いてくる。

 僕はベットにぶっ倒れながら答える。

「とりあえずステファニー嬢に合います」

「合ってくれるのか?」

「ゴードンさんが作った装飾品をちらつかせます。多分それで食いついて来るかと」

「そうなのか。それってゴードンの爺さんたちが片手間に作ったやつだろ?売れるのか?」

「売れるも何も、王都こっちだと最高級品ですよ」

「そうなのか? 物凄く適当に作ってたやつだぞ」

「知ってますよ。高く買ってくれる人がいるんだから、みんなハッピーってことで」

 ドワーフは手先が器用だし、人間よりも長命なので、いい作品が作られる。おまけに品薄なので最高級品になってる。

 実は僕はそのことをこっちの学校に入るまで知らなかった。学生達がゴードンの装飾品をこぞって求めてるのをみて、そのことを知ったくらいだ。


 昔、そのことを言ったら

ー田舎者にもほどがありますなー

 とデモンズが頭を抱えてた。田舎者なんだから仕方ないだろ。


「坊主。王妃と何を話すんだ?」

「世間話ですよ」

 そういうと、眠気が襲ってきたので、そのまま目を閉じた。

 王都の夜は更けていった。


 翌日、国王陛下に謁見の許可を取りに行く。

 こんなに早く来るとは思ってなかったらしく、取り次いだ侍従がかなり焦っていた。

 馬車で大名行列よろしくゾロゾロ来るのが普通だからね。公主とお付きの人二人で走ってくるなんて思ってもみなかったろう。

 腹いせ(?)にさんざんゴネた後、

「では、王妃様に合わせてもらう」

 と言ったらすんなり合わせてもらう。


 それなりの部屋に通してもらい、ポルコさんが手配してくれた執事代わりの人とエルフィと3人で会見に望む。


「これはこれは、王妃様。ご機嫌うるわしゅう」

「これはこれは、公主様。ご機嫌うるわしゅう。ご用件は」

 美人だがきつい感じがする王妃様を前に、「てめぇのせいでめちゃくちゃになってるんだ!」と掴みかかりたい衝動に駆られていたが、理性を総動員して抑える。

 さらっと世間話をしたあと、装飾品を渡してご機嫌を取って、また世間話をした。


 2時間くらい滞在した後、王宮を後にした。

「坊主、中身のない話をよくもあんなにできるな」

 とエルフィ

「まぁ必要経費ってところですよ」

 と僕

「意味があるのか?」

「これからです。上手くいくといいな」

 そういうと体を伸ばした。


 明日は、宰相と騎士団長と魔法省のトップに会うことにしている。


 やっぱり結構ワクワクしている自分がいるのに、ちょっと嫌悪感を覚えていた。

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