第3章 濡れ衣
第1話 時間
北部平定戦が7月中頃に終了し、一息ついた頃、主な面々に、年に一度の夏祭りを名目に集まってもらった。
まぁこの領には『年に一度の収穫祭』とか『年に一度の年越し祭り』とかそんなのがあったりするのだが。
月並だが蒸留の技術を教えたところ(と言っても原理を教えたくらい)、ドワーフはともかくエルフや獣人や人間までもがドハマリしてしまったため、祭りになるとあっちこっちで酔いつぶれた人たちたが、そこらじゅうでゴロゴロ寝てる事になる。
「ま、いいか」
息抜きは必要だ。
お祭りの翌日、ギド、ゴードン、エルフィーの三名と面会する。僕が彼らにお願いしたためだ。
ノックをし中に入ると、応接室で三名は座って僕を待っていた。
「なんだい、坊主」
とゴードン。一応公式な場なので、それなりの格好だが、なにか眠そうだ。
「いいお話ですかね?」
とエルフィー。ちょっと辛そうだ。
「ゔーーーーー」
ギドが頭を抱えてる。そりゃあんだけ吞めばね。
「お話を進めさせていただきます」
色々ダメになってる三人を前に、ギトに話したことをもう一回話する。
「むー」とか「うー」とかの唸っている。
その後、僕は彼らに頭を下げる。
「ギドさん、ゴードンさん、エルフィーさん、私はあなた方にお願いできる立場ではないことは重々承知していますが、ご助力をお願いいたします」
すこしの沈黙。エルフィーが口を開く。
「今更なにを言ってるのだ?君たちの先祖や君たちが我々によくしてくれた、誠意には誠意を返すことを我々は知っている。よろこんで協力させていただくよ」
ゴードンも続いて口を開く。
「坊主のおかげで生活が色々楽になってるしな。酒も上手いしな。よろこんで協力させてもらうぞ」
ギドは面倒くさそうに
「今更なにを言ってるんだ?」
と簡単に承諾してくれた。
「ありがとうございます」
僕は最敬礼をした。
お昼が過ぎて、会議室に主だった面々を会議室に集めた。
集まってくれた面々は、ギド、ゴードン、エルフィー、デモンズ、フランク、クレス、ドノバン、アリス嬢、父、母、の10名だ。
領の面々には僕たちのおかれている立場の話はしてある。
会議は僕から口火を切った。
「我々の置かれている状況は前話した通りです。ドノバンさん。他の領でうちに向かって動員できる兵数はどれくらいになりますか?」
「常識の範囲内の動員となりますと、王家1万4千、ラーション家が6千、キーガン家が7千です。サム家とキーガン家は国境の警備がありますのでこれくらいかと」
「なるほど」
「まとめてこられると、ちと厄介ですね」
厄介どころ滅ぶレベルなんですが。
「敵を分断しないとですね」
とフランク。すでに敵扱いである。
「うちの領の動員はどれくらいですか?」
「7千です」
とデモンズ。
ちなみに事前に聞いていたのだが、ゴードンのところは2千、ギドのところは1千5百、エルフィーのところは5百出してくれるそうだ。
そのことを伝えると、フランクが沈黙してる。
静寂。そののちフランクが顔を上げる。そのタイミングで僕が彼に質問した。
「どれくらいかかりますか」
「2カ月ください」
その答えを聞いて覚悟が固まった。
「わかりました。僕はこれより分断と時間稼ぎを行います」
さて、やることは決まった。あとはどうするかだ。
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遅くなってすいません。これより木曜日と月曜日の朝に投稿するようにします。
補足※
「2カ月ください」→全軍を合わせての訓練時間でこれくらい欲しいって意味です。
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