幕間 その1 リタのお茶

 北部からの撤退を開始して五日後に、領都ガクハに到着した。

 先触れは面倒く・・・ではなく急いでいたため出さなかった。


「ただいま」

 といいながら領都にある屋敷に入ると、デモンズが迎えに来てくれて

「おかえりなさい。坊ちゃん」

 と言う前に、小さな塊が僕に突進してきた。


「ろーーいーーずーーざーーーまーーー」

 号泣と絶叫を掛け算したリタ声は、屋敷中に響きわたった。


 そして、僕の胸に飛び込んでくると、

「心配したんです。ほんとーーに心配したんです。ほんとーーーーにほんとーーーーに心配したんです。フランクさんとドノバンさんが先に帰ってきて、でもロイス様がいないから、聞いたらまだ残ってるって話で、みんな大丈夫って言ったんですけど、リタは心配だったんです。よかったよかったよかった」

 びーびー泣きながら一気にまくし立てた。


「ありがとうね。ほら無事だから」

 頭をよしよしししてるが、リタは僕にしがみついて離れなかった。

 その騒ぎを聞きつけてか僕の両親とアリス嬢がぞろぞろ集まってくる。


「デモンズさん。何か変わったことはありますか?」

 話が進まないので、リタ頭を撫でながらと聞くと、

「お館様(父の事)、奥方様(母の事)。坊ちゃんは政務面は優秀なのに、乙女の心とかそういうのにはわからないのですかね?」

「このコ、ほんとーーにそういうのに疎いのよ」

 と母

「誰に似たんだか。私を見習え」

 と父

「学校でも近寄るな雰囲気出してましたね」

 とアリス嬢。だしとらん。一切そんなものはだしとらん。


 おかしい、自分の領に帰ってきたのに味方がいない。

「これからのことを話さないとですね」

 というと、

「明日でも大丈夫でしょ」

 と母上

「今日くらい、ゆっくりしなさい」

 と父上

「リタ。今日は坊ちゃんと離れることを許しません。これは命令です」

 とデモンズ。

 それを聞いた瞬間、泣いてたはずのリタがピタッって泣き止み、

「わかりました!」

 と元気よく返事をした。

 おまえ、さっきまで泣いてたんじゃなかったのか。


「ロイス様。今日は最後までご一緒します♪」

「わかったわかった」

 まぁ心配させたのも事実だ。今日は彼女とのんびりしよう。


「リタ。お茶が飲みたいな」

 僕がそういうと

「わかりました!最高のお茶をいれてみせます!」

 と腕まくりした。


 その後、まったりしたお茶の時間を楽しんだ。

 これから先、こんな時間を楽しむのはしばらく先になりそうなので、この時間をかみしめた。



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幕間 その1 もう一個 幕間が続きます。

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