第15話 僕はそんなに優しくないよ

 拠点に入ると生き残った人間の顔がこちらに向く。


「始めまして、ロイス・ミツハです。僕をお探しですか?」

 両手を広げて芝居がかった仕草で挨拶をすると、立っている三人が同時に襲いかかってくる。

 襲ってこなかったのは、最初に食い物を探していたやつだけだった。

 それを見たギドが

「一人やる」

 と言って前に出た。

「マジですか」

 と呟くと、襲ってくる奴に対して剣を抜く、前に右足を思いっきり蹴り上げた。

 地面の小石がいくつか舞い、襲撃者に襲いかかる。

 襲撃者が顔をそむけた瞬間に距離を詰めて、剣もろとも両腕を切り飛ばした。

「流石、切れ味抜群」

 ドワーフ製の剣は素晴らしい切れ味だった。これで数打ち量産品って言うのだから恐れ入る。

 ギドはなんなく二人をぶっ飛ばしてた。そして、ちゃんと殺さないでいてくれた。


 腕を飛ばした襲撃者に対して、止血のためのヒールを行い(傷を塞ぐ、止血をするとかいう回復魔法。ちゃんと学べばなんとか使える)、拘束した。

 そして、その足でならず者のもとまでいく。


 両手でたくさんのキンキラを持っているそのおっさんは、何が起こったのかわからずボーゼンと立っている。

「それあげるから、公爵は南に逃げたって言っておいて」

 って言うと、コクコクと頷き、腰を抜かしながら走って(?)いった。


 さてとと、ギドがぶっ飛ばしてた奴を縛ってうごけなくしてから、腕を切り飛ばした奴の所へいくと、鎧を剥ぎ取り太陽にかざしてみる。

「どうだい?坊主」

 キドが聞いてきた。

「違うみたいです」

「ゴードンの爺さんのやつじゃねーのか」

「ですね」

 彼を拘束して、ギドがぶっ飛ばした方へ向かった。

 気絶していたので、年の行った方の鎧を剥ぎ取り、太陽にかざしてみる。

「今度はどうだい?」

「当たりです」

「まじかい」

「ハイ」


 ドワーフというのは鍛冶の腕がかなり高いので、質の良い防具を作ることができる。

 質の良い防具はそれなりにいい値段をしているが、うちは『産地直送』なのでいい値段で買えてる。

 しかし、王都方面に卸してる装備は、色々上乗せされてて、かなりイイ値段になっているが、上級者への装備として流通していたりするので、腕の良い冒険者や軍の精鋭なんかは『ゴードンの爺さん』の装備を使ってたりする。


 ちなみに太陽にかざしてみえる云々は、こちらだけの秘密だったりする。


 お話タイムの始まり。

 とりあえず両手を飛ばした人へ向かい、お話をすることにする。

「こんにちわ、ようこそクリスタル王国へ。お名前は?どちらから来られましたか?」

 ハッとこっちを見たが、慌てて視線をそらす。

「異国の地で露と消えてしまう人生ですかね。なかなか淋しいもんですね」

 睨みつけてくる。ありがとう、だいたいわかった。

「色々教えてくれたら、祖国まで送るけどどうする?」

 無言

「わかった」

 そういうと、彼の首を飛ばした。


 次にギドがぶっ飛ばしまだ気絶している人達の方へいく。

 彼らの装備を剥ぎ取ると中々えげつない毒のナイフが出て来た。

「こりゃ、ヤバイやつだぞ」

 と、ギド

「怖いなぁ、とりあえずお話聞きましょう」

 と、僕は気絶している彼をペチペチと叩いて起こす。

「こんにちは、同じ国の公爵を殺しそこねた気分はいかがです?」

 睨みつけてくる。ここでなにか言ってくれれば情報を引き出せるんだけど。

「誰に頼まれました? マルク・キーガンアンニュイですか?ラーション・サムメガネですか?フランコ・サム筋肉ですか?オリバー・ミュラー傲慢ですか?」

 沈黙。

「答えていただけませんか」

 僕はそう言うと、気絶しているもう一人に彼の短剣をあてがった。

「最後です。どうですか?」

 答えなかったので、まだ気絶している方へ彼の短剣を突き立てた。

 みるみる顔色が変わり、ガタガタ震えだして、少しすると動かなくなった。


「こんなのよく手に入りましたね。で、答えていただけますか?」

 僕はニッコリ笑った。

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