第14話 バトルロイヤル(他人事)
フランク達が撤退してから2日たつと、拠点に暴徒(といっていいか分からないが)がなだれ込んできた。あっちこっちの家を周り食料をかき集めていた。
拠点から離れた場所に、入念な偽装を施した観測所を構築。そこから拠点の中を観察する。
双眼鏡と盗聴用?の魔道具を持ち込んでる。
「坊主。何を確かめるんだ?」
「外部の勢力が関わってるかどうかですかね」
「関わってるとどうなるんだ?」
「死人がたくさん出ます」
そういうと、僕は静かにするようにジェスチャーをした。
ギドが黙ったのを確認すると、盗聴に使える魔道具を発動する。
これにはサウンドという風属性の精霊魔法が入っており、効果は「見えている範囲の場所に、音を聞くことができ、なおかつ届ける事ができる」というものだ。
直接見えてないと使えないし、こちらの声も届いてしまうので、取り扱いには注意が必要だったりする。
元拠点は、総勢100名程の輩が動き回っており、その中に紫、赤、黄ぽい服を着たやつがちらほらいた。兵隊崩れかはたまた別か。
彼らの動きはお世辞にも統制が取れたものとは言えない。飢えた獣のそれで、家をあさっては食べ物を見つけると食い尽くす。
(下剤でも仕込んでおけばよかったかな)
無料でくれてやるのは悔しいので、そんな凶悪なことを思った。
だがそれとは別に、やけに統率の取れた20名程の集団が血相をかえて動き回ってた。
『いたか?』
『いや』
『探せ。そう遠くには行ってないはずだ』
恐らくは僕を探しているんだろう。目的は誘拐か殺害か。
するとまた別の30名程の集団がなだれ込んでくる。
こいつらは冒険者風な見た目だが、そこかしこに訓練されたものの仕草が見て取れた。まともな訓練では無さそうだが。
ならず者たちは一通り食い尽くしたのか、あたりを物色し始めた。
それぞれ3つの集団が元拠点に巣くってる状態だ。
それぞれ認知はしていなかったので、執務室とかで使ってた元村長の家に誘導してやることにした。
「おい!村長の家だ!村長の家にいたぞ!!」
僕は大声で叫ぶと、その声は魔法を通して拠点中に響きわたった。
最初にならず者たちが村長の村になだれ込む。驚きと歓声があがった。恐らくはキンキラの装飾品を物色してるんだろう。
その後、残り2つの集団が元村長宅に雪崩込むと、そこから聞こえたのは怒号と斬撃であった。
僕が魔法を切ると、ギドが話かけてきた。
「あいつら何やってんだ?」
「まぁ、お腹が膨れれば欲しくなるのは金でして」
「なるほど、命懸けで取り合いしてるわけか」
「大元は多分そうでしょ、でも色々と混み合ってそうですね」
せっかく生き残ったのになぁとギドが呟く。
2時間くらいで凄惨な殺し合いは終わり、立っているのは片手で数えられるくらいになった。
その立っている人間も殺意マシマシで、それぞれを殺そうとしているように見えた。疲れて動けないといったところか。
「ずいぶんと頑張ったな」
「まぁ色々あるんでしょ。お話を聞きに行くんです付き合って下さい」
「へ? なんだって?」
僕がスタスタと拠点に向かって歩くと、ギドが慌ててついてきた。
「これからのことを決めるためにも必要何ですよ」
「そうなのか」
あんまり要領の得ない回答に戸惑いながらも僕を護衛する位置で歩くのは流石といったところが。
拠点に設けた壁がみえてくる。
この先は果たして、鬼が出るか蛇が出るか。
少しワクワクしている自分を諌めた。
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