第13話 確かめたいこと

 その報告を受けた僕は、直ちにフランクとドノバンとギドを呼ぶ。

「いま、デモンズさんとポルコさんからの報告で、国王が王都に帰還するとありました。国王が担当する地域の制圧は完了してますか?」

「いや、そのような報告は上がってませんな。逆に追い詰められているという報告は上がってますが」

 と、ドノバン。この人はあらゆるところに情報網を持ってる。

「なるほど、あの国王、逃げたか」

「はい、あの地域に限らず、北部は物資も枯渇しており、反乱の兆しもあります。ひどいところでは餓死しているものもいるそうです」

 うちはまだ大丈夫ですが、と付け加えたが時間の問題だろう。


 僕は軍事面担当のフランクに話をふる。

「フランクさん。撤収はどれくらい進んでますか?」

「はい、半分まで撤収が完了しました。あと一週間で200名を残し撤退を完了いたします」

「わかりました。そのまますすめて下さい」

 二人は敬礼すると執務室を出ていった。


「坊主、俺は何をしたらいいんだ?」

 とギド(ヘラクレス)

「ヘラクレスさんは僕の護衛です。よろしくお願いします」

「坊主のお守りか、まぁ楽しいことになりそうだな」

「ハイ、存分に腕を振るって下さい。恐らく敵中を突っ切ることになると思います」

「200対10万とかそんな感じになるのか?腕がなるぜ」

 ギド(ヘラクレス)が腕まくりをしたが、少々訂正させてもらった。

「いえ、僕とヘラクレスさんの二人で突っ切ります」

 ギドが、え、という顔をする。

「好きでしょ。こういうの」

 と畳み掛けると

「坊主、おまえ最高だな」

 ギドはなかなかいい笑顔だった。



 さらに一週間がたとうとするころ、デモンズから連絡が入り、残りの公爵家もそれぞれの領都に帰っだことがわかった。限界だったのだろう。

「代官も任命せずに帰ったそうですよ。どっからどう見ても失敗ですが、あちらさんは成功って言ってるみたいですよ」

 僕がデモンズの報告を読みながら呆れる。

「どのあたりが成功なんだ」

 とギド。

「さあ」

 知らんがな。まぁ直接聞いても要領の得る答えはこなさそうだ。


 その後ドノバンからの報告を受ける。ずいぶんと赤い駒が増えてきた。

「400名程の集団がこちらに向かってきてます。接触するまであと二、三日と言ったところでしょ。南への退路は確保されていますが時間の問題でしょ」

「東の川へのルートはどうですかね?」

「そこはリキャルド達のテリトリーです。関係は良好なので問題はないかと」

「ありがとうございます。ドノバンさんも今日の便で撤収して下さい」

「わかりました」

 ドノバンが頭を下げる。


 盤面を見たまま僕は声を掛ける

「フランクさん。こちらに近づいている集団がいます。蹴散らせますか?」

「問題ありません」

「ありがとうございます。蹴散らしたあとはそのまま撤退して下さい。フランクさんが王領についた時点でアイギスまで全員を引き上げて下さい」

「公主様はどうするおつもりで?」

「これからのことを考えて、色々見ておかないとと思ってね。大丈夫、ヘラクレスもいるから」

 なにかいいたそうだったが、わかりましたと頭を下げると、彼の部下に指示を飛ばした。

 彼の指揮ぶりを見られないのは少々残念だ。


 次の日にフランクが集団を蹴散らした報告が入ってきた。彼らはそのまま撤退する。


「さて、坊主はどうするんだ?」

「拠点を見渡せる場所に移動します。ちょっと確かめたいことがあるので」

 そういうと、拠点を後にした。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

遅筆で申し訳ございません。

がんばりますので応援お願いします

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る