第12話 蓋が開く
「ロイスちゃん。現地の人たちが反乱をするのなら、なおさら私たちは残った方がいいのでは?」
母がここにいる全員の疑問を僕にぶつけてきた。
「いえ、この反乱は『革命』とか『悪政打破』とかそういうものではなく、ただただ『食い物よこせ』です。そして、この北部地方で一番食料を持っているのが僕たちが占領しているここです」
「つまりここの人たちが全部こっちにくるということですか?」
とはドノバン
「はい、下手したら友軍の残党もこっちにくるでしょう。『草木が我らを殺しに来る』です。皆さんの強さは知っていますが、今回は無力です」
みんなが一様に首をすくめる。寒気を感じたのだろう。それを見て僕が話をつづける。
「当たり前なことで、しばし忘れてしまうのですが、人は動くと疲れるのです。疲れは判断の低下を招き、判断の低下は死を招きます。疲れを取るためには食事と睡眠は必須ですが、数で1日中こられると、これらにさける時間がなくなります」
たしかに、という空気が蔓延する。
「では、公主様。これからの方針はどうするのですか?」
とはフランク
「この拠点より北にいる兵士たちを撤収させてください。また、ここから王領につながる道路以外の警備は取りやめる方針で」
「随分思い切りますね」
「はい。あとは王領との境まで順次撤退させてください。人数と人選はフランクさんにお任せします」
「わかりました」
「あと、ドノバンさん。情報収集をお願いします」
方針は決まった。
「わかったわ。私とアリスちゃんは明日の朝には出発する。でもロイスちゃんはどうするの?」
母は親の面をのぞかせる。
「最後まで残りますよ。こんなところで死ぬつもりはありませんけど、万が一、何かありましたら父上に返り咲いてもらいますよ。それに」
「それに?」
「トップの人間は一番最初にきて、一番最後に帰るって相場がきまってるんですよ」
そういうと、手をパンと叩いて、話し合いを終わりにした。
次の日の朝、キーガン公爵家の面々の殺気の籠もった視線を浴びていた。僕はそれに答え、すばらしい笑顔で見送ってあげた。
挨拶代わりに色々と言われたが、スルーする。
「ハンカチでもふってやろうかね」
とか呟くと、近くにいた衛兵が吹き出した。
「公主様、流石にそれはやり過ぎかと」
と、衛兵
「そうかな。女装して『マルクさま〜』とかやったら感動してくれるかも」
「いいですね。みんなでやりましょうか」
と笑った。
その後、業務をなんとかこなしながら、合間を見てリキャルドにとあるものを渡した。役に立つことを祈ろう。
キーガン公爵との面会から1週間たったころ、デモンズとポルコから手紙が届いた。内容は『国王は王都に帰還する』と書かれていた。
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応援してくださる皆様。読んでくださる皆様。本当にありがとうございます。
稚拙な文章ですが、お付き合いをお願い致します。
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