第9話 訪問

 会見はつつがなくおわり、リキャルド達は味方になってくれることになった。まぁ半分脅したみたいなもんだが、その当たりは気にしないことにする。

 

 とりあえず目の前の課題は片付いたので、夕食と就寝をするために身体をぐーと伸ばすと、ドノバンに指示をとばした。

「あ、河で使う船も用意しておいて、それとポルコさんにくるように願いして」

「わかりました」

「よろしくね」

 良い仕事は良い食事と良い睡眠からをモットーにしてるので、ご飯をたべるて、寝ることにした。


 1週間たったころ、ポルコが拠点まで来てくれた。

「坊ちゃん。なにか御用で」

「お金に糸目をつけないので、宝石やら指輪やら適当になにかキンキラしたものを持ってきてほしいです。執務室に飾ったりしたいので」

「わかりました。カクルにもっていけばいいですか?」

「いや、ここにもってきてください」

「へ?ここにですか?」

「お願いします」

 ポルコがしばらく黙っていたが

「わかりました。持ってきましょう」

「ありがとう」

 彼は少し考え事をしていたが、やがて納得したかのようにうなずいた。そして話題を変えるかのように王都の話をした。


「そういえば坊ちゃん。ステファニー様が王弟殿下の勉強をみているそうですよ」

 ポルコがものすごく悪い笑顔を浮かべてる。

「フーン。そうなんだ」

 果たして見ているのは勉強だけなのかね。

 そう思いながら、僕は自分の頭をガシガシと引っ掻き回した。




 北部平定戦が始まってから1か月が過ぎる。

 順調に進軍していた他の3つの軍団(サム公爵家、王家、キーガン公爵家)は、ここへきて足が止まった。おそらくは食い物がなくなったせいだろう。

 ちなみに僕たちはなんとか、拠点から徒歩で二日の地域まで広げることに成功している。

 まぁ、槍や剣を振るうより、ツルハシやらノコギリを振ってる時間のが長かったりしているが、そのおかげで潤沢とまではいかなくとも、必要な物資は確保できていた。

 しかし、かつかつなので、

「C-130でもC-1でもチヌークでもオスプレイでもいいから、 ぷりーーーず」

 と何度叫びたかったかわからない。いや、実際に叫んだが、当然そんなものはない。現実は非情である。



 5月の中旬になろうというころ、衛兵の一人がかなり慌てて執務室に入ってきた。

「こ・・公主さま!マルク・キーガン様がこ、こ、来られました!」

「ああ、先触れが来たのか」

「いえ、ご本人様が!直接こられました!!!」

「ハイ?」

 僕の声が一オクターブ上がった。貴族が先ぶれなしに直接訪ねるなんてことは、はっきり言って異常事態だ。

「わかった。とりあえず執務室、はまずいか、応接室(もどき)まで、じゃなくて僕も行くから」

「わ・・わかりました!!」

 その衛兵と一緒に走り出した。


 また変なことがおきなきゃいいが、絶対おきるだろうな。


 おなかいたい。


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頑張りますので応援お願いします。


本当なら物語のなかで入れられれば良かったのですが、冗長になってしまうので、補足


通信について

 A4のノートパソコンくらいの大きさの魔道具。送信したい相手と内容を記載した紙をその上に置くと、紙が鳥の形に変化して、相手に飛んでいってくれる、というもの。

 魔道具の作成にはエルフの魔法とドワーフの器用さが必要なためと、ロイスが意図的に隠しているため、王国にはあんまり知られていない。


『「C-130でもC-1でもチヌークでもオスプレイでもいいから、 ぷりーーーず」』

C-130→輸送機

C-1→これも輸送機

チヌーク→輸送ヘリ

オスプレイ→これも輸送機

 道路事情が劣悪なので、トラックは役に立たないと彼は判断してます。

 なので点と点で運べる輸送機が欲しかったりするのです。

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