第8話 会見
もとは何かの倉庫だったと思われる小屋の中は和やかな雰囲気とは程遠い空気があたりを満たしている。
僕の両脇には護衛の兵士とドノバンが、ハーフエルフの後ろには2名の兵士が剣の柄に手をかけている。得体のしれない人間と公爵家の当主の会見だ。これくらいの警戒は当たり前といえる。
その中心にいるハーフエルフの女性は、イキがるでもなく、怯えるでもなく、ただただ僕を見据えていた。
「始めまして、この軍を統括しているロイス・ミツハといいます。公爵家の当主です」
僕が頭を下げる。彼女の顔がほんの少しゆがんだ。
「リキャルドだ。公爵っていうのはもう少し偉そうだと思ったが、お前は違うのだな。それに服装だってとても貴族には見えない」
「偉そうにしてもいいことないですからね。それに戦場では過度な服は着ないことにしてるんです」
僕の軍はこの世界の服装とはかなり違う。
地球の21世紀の軍服のようなものを着用し、その上からドワーフの技術とエルフの魔法を合わせて作った防刃ベストのようなものを身につけている。
だが、見た目は皮の鎧にしか見えず、性能はともかく、見た目は『貧乏貴族軍隊の成れの果て』になってしまう。
ちなみに僕はグリーン系の軍服(もどき)をきているため、貧乏貴族軍隊らしさに拍車がかかってる。
「私を見ても驚かないのですか?」
リキャルドが聞いてくるが
「存分に驚いてますよ。顔に出ないだけです」
少しの沈黙。
その後、僕が口を開いた。
「あなた達は僕達の敵ですか?味方ですか?」
この言葉に場の空気が一気に凍る。
リキャルドが沈黙している。というより絶句している。
「お答えいただけますか?」
意図的に声の温度を下げてもう一度問いかける。
「その前に質問よろしいですか」
どうぞと僕が促す。
「敵になると答えたらどうなるのですか?」
「まず、今すぐあなたを拘束します。その後、あなたが所属している集団の情報を引き出します。その後、あなたを人質にし、殲滅します」
「仮に女性や子供がいてもですか?」
「当然です」
しばしの沈黙。
「味方になると答えたらどうなるのですか?」
「できる限りの援助を行います。食料や住むところ、畑の開墾。道路や井戸の整備なども行います。なんならここに住んでもらっても構いません。また、僕たちがここで駐留している間に、仕事をしてくれるのであれば、報酬を払います。引き払ったあとは勝手に使ってもらって構いません」
ここまで一気にいうと
「どっちにするかお答えいただけますか?」
さっきよりさらに声の温度を下げて問いかける。
リキャルドが困惑して聞いてくる
「みんなと相談したいのですが、といったらどうします」
「拘束して殲滅します」
即答すると、リキャルドが僕のかをマジマジとみている。そして、
「しかし、それはあまりにも余裕がないのでは」
と、僕をたしなめるように言葉を投げかけるが、
「実際、余裕などないですからね。禍根は早急に取り除くに限ります」
僕がにこやかに、あっけらかんと答える。そして、
「どっちにするかお答えいただけますか?」
僕は三度、今度はにっこり笑って彼女に問いかけた。
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遅くなってすいません。頑張りますので応援お願いします。
しかし、主人公がサイコパスになってるなぁ
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