第7話 荒れた地で

 僕たちは予定通りに廃村に到着すると、拠点づくりを始めた。

 この拠点は足がかりになると同時に、避難先にもなるので、しっかりとしたものを作ることにしている。

 どうやら『普通の村』だったようで、宿屋やら冒険者ギルドやら村長の家の残骸らしきものがあり、それなりに開かれている。

 とりあえずここは廃村の中に、兵舎やら倉庫やらを作成する指示を出した。


「ところで、なぜギドさんがいるのですか?」

 司令部代わりにしている天幕に、なぜか魔道具で人化(?)したギドがいた。

「ヘラクレスと呼んでくれ」

 親指立ててビシッと決めてるが、まったく回答になってないですよ。

「では、ヘラクレスさん。なぜここに?」

「楽しそうだからに決まっているだろ」

 まったく回答になってないですよ。

「獣人の長である貴方がここにいるのはなぜですか?」

「楽しそうだからに決まっているだろ」

 まったく回答になってないですよ。

「獣人の長のお仕事は?」

「部下に任して、楽しそうだからこっちにきた」

「まったく回答になってないですよ」

 おもわず口にしてしまった。

「北に向かって制圧しにいくんだろう?だったらドラゴンヤツが出てくるかもしれないからな。そしたら俺がいた方がいいだろ」

「そりゃそうですが、そこまで奥にはいかないですよ。」

「坊主が行かなくても、他の奴らが行くかもしれないぞ」

 そういうとギドの口角が上がる。


 この国の北の山脈にはドラゴンが住んでいるといわれている。というより、実際に住んでいる。

 ギドたちの村(国?)が住んでいる場所はアイギスの北にあり、しかも相当山脈に近くに位置してる。

 それなのでギドたちは年がら年中、というわけではないが、そのドラゴンたちとをしているらしい。


 ちなみに僕はドラゴンを見たことないし、この国の人たちもほぼ見たことない。


 もう一つの疑問もギドにぶつけてみる。

「一国の王が僕の護衛に付くのって色々問題じゃないですか?」

「その当たりは大丈夫だ。うちの連中はお前に心酔してるから是非行ってくれと言われてなぁ」

 とギドはガッハッハと笑った。

 厄介払いじゃね、と思ったがそれは黙っておくことにした。実際にいてくれると助かるしね。


 それから数日が立ち、拠点づくりと作戦は順調にすすんでいる・・・わけではない。

 やれ、資材がたりない、人手が足りないとか、その他もろもろおこった問題をなんとか力技でねじ伏せ、制圧地域を広げるための作戦を行っていた。


 そんな忙しい時を過ごしていると、

「面会ですか?」

「面会といいますか、捕虜といいますか、まぁ色々と、とにかく合っていただければ」

 ドノバンが珍しく奥歯になにか挟まった様な口調で報告してくる。

「珍しいね」

 などといいながら、拠点の外れの小屋まで案内された。


 ここです。と言われて扉を開けた先には、トンガリ耳と切れ目の美形な方がいた。

―ハーフエルフ?―

 僕のかすかなつぶやきは宙に溶けていった。


 そうだ、ここはそういう地でもあった。


 かのハーフエルフは僕を見定めるかのように真っ直ぐ僕を見ていた。

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