第2章 北部平定戦

第1話 北部の事情

 派手だが空虚な結婚式と、さらに空虚な即位式を行われた。

 空虚な結婚式にはなぜか3人の公爵と王弟が参加し、

「新たに王国を守る4人の騎士」

 とか徹底的に祭り上げられていた。


 そんな空虚な諸々から這々の体で領へ逃げ帰り、色々な雑務や準備におわれ、8ヶ月がたとうとしてた。

 ちなみにアリス嬢は領内を自由に散策しているようだ。楽しんでいるようで何より。


 そろそろ11月終わろうかというに日に、王都からの使いが来た。それによると、4月から北部領の平定を行うから出兵しろというお便りだった。

 おそらく王妃の出産を待って、王の最初の功績を立て、威光を示そうというのだろう。


「出し渋るとすり潰されるし、出し惜しみなしだと兵站が大変だし」

 僕は腕を組んで考える。

「出し惜しみすると、王の不興も買いかねません」

 とデモンズ。

「そうだよね・・・。あと編成も考えないとね・・・」

「その当たりはフランクと相談すればよろしいかと思います。坊ちゃんはあまり得意ではないでしょ」

「そうだね。餅は餅屋ともいうしね」

 何ですかそれは?というデモンズの疑問に、慣用句だよって返事をして、次の仕事にとりかかろうとした。

 

 そこにリタがお茶にしませんかと入ってくる。

 そして、お茶を出しながら聞いてきた。

「ロイス様。そういえばなぜ王領の北部はどうして荒れてるんですか?」

「ああ、それはね、結構いやな話になるんだけど・・・・」


 この国は500年前に建国されたのだが、その際、亜人の国と国境を接することになった。

 エルフもドワーフも獣人も人間と比べて非常に強力なので、はじめのうちは普通の関係だったのだが、亜人たちを奴隷として誘拐する奴らが出てきた。

 当然、亜人側は大激怒し、街をいくつか落とされ、住人は全員殺されたりした。


 そこに立ち上がったのは王家とロイス家である。

 王家は王国に亜人を売買した者は厳罰に処すと発令し、ロイス家は妻や子供を亜人側へ人質として出して、誠意をみせ、その後、全土に捜査の手を伸ばし、誘拐された亜人の奪還と、犯人の引き渡しを行った。

 その過程でいくつかの貴族は取り潰しにあい、また、その間を取り持った商人や誘拐の実行犯は、逮捕されていた。

 その結果、公爵は3つしかのこらず、その下の貴族もかなりの数が処分された。

 そして、王都の北部に処分された貴族が多かったため『荒れている』状況になったのだ。


「そんなことがあったんですね」

 リタが複雑な顔をしていた。

「まぁ、エルフィーたちから聞いた話だけどね」

 そういうとお茶を飲む。


 実際に北部には多くの『貴族』がいるので、なかなか平定が上手くいっていない。王は婚姻を反故にしているので、それに代わる功績が欲しかったのかもしれない。


「大丈夫かね」

 と呟いてみてすぐに思い直す。


 ダメだろうな・・・・。

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