第12話 振り返りクイズ配信②

 さて、カガリ、ニグ、ハルヒの順にクイズのネタになったから次は俺の番かな?


 ロメオ:「では次の問題です」


 四問目のクイズが始まった。


 スクリーン画面に俺の配信動画が流れる。

 やはり次は俺だったか。

 そしてその動画は以前の凸待ち配信のもので──。


 ロメオ:「さて、ゼンの凸待ち配信でラストに登場したのは誰か?」


 これはラッキー問題だ。

 この凸待ち配信はつい最近のことだし。

 俺は自信満々で答えを書く。

 だが、それは周りも同じで、誰も唸ることなく、すらすらとタブレットに答えを書く。


 ロメオ:「では、お答えをどうぞ」


 皆の答えがオープンされる。

 すると──。


 ロメオ:「おっ!? 全員『赤羽メメ・オルタ』と答えてる!?」


 ハルヒ:「これは知って当然だよね」


 ニグ:「せやな」


 ロメオ:「では続きを見てもらいましょう!」


 配信動画の続きが流れ、見事答え通り、赤羽メメ・オルタが凸にきた。


 ロメオ:「見事的中!」


 皆:『やったー!』


 ロメオ:「ゼンは赤羽メメ・オルタが凸に来た時はびっくりした?」


 ゼン:「それはびっくりした。ペイベックスの女性Vtuberが来るのは初だからね。しかも当時話題だったオルタだもん」


 同じペイベックス所属といえど男性Vtuberと女性Vtuberの絡みはなしと決めている。ただし凸待ちは例外。けれどそれでもリスナーを憂慮して凸待ち配信でも基本はないとなっている。


 それを破ってやってきたのが赤羽メメ・オルタ。

 配信事故で赤羽メメの別側面として存在する彼女はそういった事情を知らないのだろう。


 ロメオ:「あれ以降は絡みは?」


 ゼン:「ないない。相手は女性Vtuberだからねー」


 カガリ:「俺も一度くらいはお話ししたいなー」


 ハルヒが「ファンが怒るぞ」と小声で注意する。

 それにカガリが「収録だから小声でなくていいぞ」と返す。


 収録は生配信ではないから、後から編集でカットができる。


 ロメオ:「皆も女性Vtuberとコラボしたい?」


 ハルヒ:「めっちゃしたい!」


 カットされると分かるやハルヒは自身の願望を強く告げた。


 ロメオ:「今の使いますねー」


 ハルヒ:「やめてー」


  ◯


 ロメオ:「次はこちらの動画をご覧下さい」


 そして次の問題の動画がスクリーンに流れる。

 次は2期生全員の動画だった。


 ニグ:「これはワード人狼だっけ?」


 ワード人狼とは1つだけ周りと違う人狼カードがあり、それを引いた者はそれを周りにバレずに会話をし、周りは誰が人狼カードを引いたのかを当てるというゲーム。


 ハルヒ:「懐かしいな」


 ゼン:「そうだね。またやりたいな」


 カガリ:「ニグだっけ? BLを引いたの? あれは笑ったわー」


 動画はニグが【?】カードを引いて、人狼が始まった。実際には【?】はなかった。ということは、これはこの【?】が何なのかという問題なのだろう。


 ニグ:「あの時はカガリがマイブームって言うから、びっくりした」


 カガリ:「俺達は百合だったからな」


 人狼ゲームでカガリが「めっちゃ好きだの」、「生で見たい」、「見てるだけで目の保養」とか「てえてえ」と言っていて、ニグがめっちゃ引いていた。


 ──そう。今、見ているクイズ動画のように。


 カガリ:「あっちゃー」


 ニグ:「……やってもうたな」


 ロメオ:「はい。では、この【?】が何なのかを当ててもらいまーす。……というか、もう分かってるよね?」


 そう動画はあのBLのやつだった。


 ロメオ:「カガリとニグは減点です」


 カガリ:「えー!?」


 ニグ:「俺も?」


 ロメオ:「当たり前です。なんで問題前に喋っちゃうのかな?」


  ◯


 ロメオ:「次はこの問題です」


 しかし、スクリーンから動画は流れず、写真画像が現れた。

 その写真にはキッチンに並べられた食材が写っている。


 ロメオ:「これはハルヒが料理配信をした時の写真です。さて、これらからハルヒが何を作ろうとしたのかお考えください」


 カガリ:「ええー? 卵、ケチャップ、ミックスベジタブル、ミンチ、炊飯器……」


 ニグ:「簡単やん」


 まあ、この材料だけなら普通に考えてアレだろうけど。それだけで問題にするだろうか? もう一捻り何かありそうだ。


 俺は少し考えてから答えを記入した。


 ロメオ:「ではまずはハルヒ以外の解答オープン。ん? ニグはオムライスで、カガリとゼンはオムレツ。どうしてオムレツと?」


 カガリ:「ハルヒのことだからご飯炊くの忘れてたんじゃない?」


 ゼン:「俺もオムライスかと思ったけど、それだけで問題にしないと思ったからオムレツかなと」


 ロメオ:「いい推理ですね。では、ハルヒの答えオープン!」


 料理配信の張本人であるハルヒの解答は「ケチャップの焼き飯」だった。


 ニグ:「どういうことや? ケチャップの焼き飯? なんやそれ? チキンライスちゃうんか……って、鶏肉やなくてミンチやからか?」


 ロメオ:「では、動画を見てましょう」


 そしてスクリーンで動画が始まり、ハルヒのクッキングが始まる。


『皆ー、今日はオムライスを作るよ』


 ニグ:「当たってるやん。オムライスやん」


 ロメオ:「最後まで見て下さーい」


 動画ではハルヒが油をフライパンにひいて、溶き卵を流す。そしてミンチとミックスベジタブルを入れて、掻き回す。


 ニグ:「え?」


 ミンチとミックスベジタブルが焼け、ハルヒはご飯を入れてさらに掻き回す。


 そしてケチャップを入れて、


『あっ!? やっちゃったー! うわー。どうしよう?』


 ここでハルヒは気づいたようだ。卵を入れたことを。


『うーん。これはオムライスはやめて、ケチャップの焼き飯にします』


 ロメオ:「答えはケチャップの焼き飯でした。残念ながら正解はハルヒだけでしたね」


  ◯


 その後、いくつか問題を解いて、とうとう最終問題となった。


 ロメオ:「最後の問題はこちらです!」


 スクリーンに最後の動画が流れる。


 動画は2期生全員集まった初めてのコラボ動画でゲーム『ハリオパーティー』をやったときのものだ。


 この『ハリオパーティー』はすごろくを回して、出た目にそってマスを進み、止まったマスに書いてあるミニゲームをプレイしてコインを貯める。さらに他のプレイヤーからコインを奪ったり、順位によってコインを得たりして、より多くのコインを取ったものが優勝となるゲーム。


 動画では俺が圧倒的1位を取っていて、さらにゴールまで目前だった。


 ロメオ:「この後、一体何が起こるでしょうか?」


 この問題は俺にとってのサービス問題か。

 確か逆転されるんだよな。でもボーナスポイントで──。


 ロメオ:「では、ゼン以外の解答をオープン」


 俺以外ということは答えが合わなかったということか。


 ロメオ:「カガリとハルヒが『ゼンの逆転負け』、ニグが『逆転されるけど、最後にボーナスポイントで同率3位になる」


 カガリ:「同率3位か!」


 ハルヒ:「それだわ。最後に何かあったのは覚えてたんだよ。ボーナスポイントかー!」


 ニグ:「うーん? 自信はないんやけど。こんなんやったような気がする。合ってるかな?」


 ロメオ:「では、ゼンの答えを見てみましょう。オープン!」


 俺の答えがスクリーンに表示される。


『逆転されるけど、ボーナスポイントでまた逆転で同率1位』


 カガリ:「あれ? 1位になるんだっけ?」


 ゼン:「そうだったはずだよ。逆転で同率3位になるけど、ボーナスポイントでまた1位になるんだよ」


 ロメオ:「はたしてどれが正解なのか? では答えの動画スタート!」


 スクリーンに『ハリオパーティー』の動画が再生される。


 ──結果は俺の答えが正しかった。


 ニグ:「1位に戻るんか!」


 ロメオ:「ニグは惜しかった。最後の問題を正解したのはゼンだけかー」


  ◯


 ロメオ:「では結果発表をしたいとおもいまーす」


 ドラマロールが鳴り、俺達は祈るように手を合わせる。


 ロメオ:「結果はこの通りです」


 ジャジャーンと音が鳴り、スクリーンに順位と名前、総獲得ポイントが表示される。


 ハルヒ:「やった!」


 結果を見て、ハルヒは嬉しさでガッツポーズをする。


 カガリ、ニグ:『ええ!?』


 逆にカガリとニグは肩を落とす。


 ロメオ:「1位はハルヒ! 2位はゼン。そして同率最下位はカガリとニグとなりましたー」


 最下位はカガリとニグの2人だった。


 ロメオ:「さてポイント最下位のカガリとニグには罰ゲームをしてもらいましょう。しかし、2人となると……どうしよう?」


 カガリ:「くそ。人狼のやつさえなければ」


 ニグ:「減点がきついなー」


 ロメオ:「えー、スタッフと話し合った結果、2人にはBL小説のワンシーンを朗読ということになりました」


 カガリ、ニグ:『えー!?』

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