エピローグ

 俺達は登録者数が30万人を超えたということでリストラは回避され、今まで通り、Vtuberでいられることとなった。


 そして今日はクビ回避して初めてのコラボ。


『いやあ、クビになってたら、ニートになってたかも』

『カガリ、そこは仕事をせなあかんやん』

『いや、俺はショックでしばらくは何もできんな』

『それわかる。俺もショックで寝込むわ』

『ハルヒもかい。ゼンはどないや?』

「俺は普通の高校生に戻るかな?」

『子役には戻らんのか?』

「もう子役って歳でもないよ。それに俳優業はもうこりごり。てか、ニグこそクビになってたら何をするんだ?」

『うちは……あー、うちもしばらくは寝込んでるかな』

「なんだよそれ」

『しゃーないやん。V以外の仕事なんて想像でけへんのやし』

『そうだな。もうすっかりVの仕事になれてしまったな。さて、皆そろそろ配信の時間だ。準備はいいか?』


 カガリが皆に聞く。


『ああ』

『ええで』

「いつでも」

『……と、そういえば、ゼンは30万人突破記念イラストをVママに描いて貰ったんだって?』

「ああ」


 俺は隣の部屋にいるであろうVママこと菫に向けて言う。


「とっても良いイラストだったよ」


 今は配信前だから伝わらない。だから、あとでちゃんと言おう。


『俺も描いて貰おうかな』

「そういえば夏バージョンのガワも欲しいな」

『配信中に訴えてみるか?』

「ああ」


 リストラ回避したんだから、報酬をねだってもいいよな?


『そういえばマネージャーが1周年記念振り返りクイズという企画をってるらしいぞ』


 カガリが思い出したように告げる。


「何それ? 面白そう」

『振り返りかー。なんや恥ずいわー』

『ニグは初期は標準語だったもんな』

『ハルヒだって、尖り系だったのに丸くなったやんけ』


 昔といえど一年。それでも懐かしさがる。


「楽しみだな」


 ぽつりと呟いた俺の言葉に、


『そうだな』

『せやな』

『ああ』


 皆もどこか感傷的に言葉を返す。


 本当に誰一人も欠けることにならなくて良かった。

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