第4話

中学2年の家庭科の授業だったと思うが、授業で男性の役割、女性の役割を習い最後に先生がこういう質問をした。

男子には「女性になりたいと思う人?」

女子には「男性になりたいと思う人?」


そして皆んなそれぞれ「女性が羨ましい!」「男性が羨ましい!」と手を挙げた。


私以外…。

私はどちらにも手を挙げなかった。


先生は私に何故どちらかに手を挙げないのかと聞いてきた。私はしばらく考えて先生に

「男性の役割、女性の役割の授業そのものがおかしいと思う。それに私はまだ男性が良かったとか女性が良かったと思うほど生きてはいないのでどちらが良いか分からないから手を挙げれない」

と答えた。

するとクラスメイトからは変わった子として見られ、先生からは授業を否定したのいう事で物凄く怒られて放課後に反省文を書かされた。


私は反省文でも男性の役割、女性の役割の授業のおかしな点を書き、それについてどちらが良いか手を挙げさせる事のおかしさを書いた上で先生の授業を否定してしまった形になった事を反省していると書いて提出した。


今、そんな授業があるのかは知らないが多分そんな授業をしたら大炎上すると思う。


男性の役割って何だ⁉︎女性の役割って何だ⁉︎

たかだかまだ14年しか生きていない子供で恋愛も結婚も出産も育児もした事がないのに男性になりないか?女性になりたいか?質問するのはおかしいと本気で思った。


クラスメイト達は「女性の方が何かと優遇されるから羨ましい。女性が良かった」「男性の方が働いたらたくさんお金が貰えるから良い。出産も育児もしなくて良いから男性の方が羨ましい」などというそれぞれの理由で手を挙げていた。


それを聞きながら私はずっと首を傾げていたのだ。

みんな何を言っているんだ?と…。


女性だからと優遇された事は今のところ無いじゃないか。出産、育児した事無いじゃないか。大変だろうと予想は出来ても実際に経験していない。

男性だから出産は別として育児をしなくても良いとはおかしい。それが羨ましいと思っているのか?何故男性は育児しなくても良いと思っているのか?男性じゃなくても一生懸命働けば平等にお金はたくさん稼げるはずだ。そもそも何だこの授業…。何故疑問に思わないのだろう?


私は心底不思議で仕方がなかった。それに疑問を持たないクラスメイト達が不気味だった。


そして疑問を持つ私が異端だと思われたこの授業が怖いと思った。


あれから大人になったが私には相変わらず女性の方が良い、男性の方が良いという概念は無い。

女性が羨ましい、男性が羨ましい、男性の役割、女性の役割など分からない。


出産以外は皆平等だと思う。まして今の時代男女問わず働いて育児してお金を稼ぐ。

男性だから、女性だから何だと言うのだ。


中学2年の時そんな授業を受けた。

今はどんな授業をしているのだろう?

今の授業を受けていたら私は異端にならなかったのだろうか?

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