第3話:ラヴの秀逸なる計画。

「でもさ、万が一それが成功したとしてセキュリティーめっちゃ厳しいだろ。

まず工場に入れないないだろ?」


「それは大丈夫・・・私、そんなの解除するの朝飯前・・・全セキュリティー

止めちゃうから、だから私が工場の門に出る前に新大君のスマホにLINEで

知らせるからタイミング見計らって私を連れに来て・・・」


「よくそんなこと思いつくな・・・まじ天才だな・・・」

「でもさ、すっげえリスクだぞ・・・これってうまくいけばの話だろ?

失敗する恐れだってあるんだぞ・・・それでもやるのか? 」


「新大君はイヤ?」


「そんなことしてまで俺のことが好きなのか?

「そんなにまでして俺んちに来たいのか?」


「うん・・・私の気持ち、もう止められない」

「新大君と暮らせないのなら、いっそ本当に機能停止したほうがまし」

「私がこの世に存在する意味ないもん」


「まじで?・・・そこまで思ってるのか・・・」

「・・・・・・・そうか・・・」

「そこまで俺のこと思ってるなら止めないよ、ラヴに全面協力する」


そして薫たちはその日、計画を決行した。


ラブは一時的に機能を停止したあと薫はラブが壊れたことを会社に報告した。

その日の昼ごろラブを製造した会社がラブを引き取りに来た。


ここまでは予定どおり。


そして薫はスマホとにらめっこしながら、ひたすらラヴからの連絡を待った。

ラヴが抜け出すのは夜。

夜なら門の受付のガードマンも帰っていていない。

夜まで待つのってやたら長い・・・。


(ラヴは大丈夫なんだろうか、まじで廃棄処分なんかになってないだろうな)

(でも、たいがいは廃棄処分なんてPCのデータ上の関係で他のガラクタと

一緒に次の日になるはず・・・)


するとスマホのLINEにラヴから連絡が来た。


「お〜待ってたよラヴ」


「あと10分くらいで工場の外に出て門の前で待ってるから迎えに来て 」


薫はすぐにポンコツの軽四で工場まで走った。

さすがAI・・・工場に到着したら10分ジャストだった。


薫はライトを消して工場の門のまえでラヴを待った。

そしたら暗闇に紛れて、丸い頭がひょこり現れた。


薫はそのままラヴを軽四の後部に乗せて自宅のマンションに向かった。


「大丈夫か?、あとでラヴの捜索願とか出されないかな?」


「大丈夫だよ、会社のコンピューターに細工してきたから・・・

情報書き換えてきちゃった。・・・AIー0、廃棄処分完了済みって」


「これで私は会社の登録から抹消されたことになるからね」

「私はもうこの世には存在しないの・・・」


「めっちゃ、頭いいな・・・人間より上行ってるわ・・・」

「普通の AIならそこまで考えつかないだろ?」

「おまえはやっぱり特別なのかもな・・・」


「あ〜あ・・・これでせめてラヴが超べっぴんさんのガイノイドだったら

言うことないんだけどな・・・R2-D2じゃ〜なぁ・・・」


「・・・・・・」

「ん?・・・待てよ・・・待て待て・・・そうだ、その手があったか・・・」


つづく。


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