第2話:ラヴに告られる。
ラヴは表面処理の機械が起動してない時は薫のそばによく来るようになった。
「おまえ、なんで俺のところにばっか来るんだよ?」
「なんで他の部署には行かないんだ?」
ラヴは何も言わないで薫のする作業をじっと見ている・・・なにか学習してる
のかなって、その時薫は漠然とそう思っていた。
でも実際は、そうじゃなかったのだ。
なんとラヴは、ある日薫にいきなり、告ってきたのだ。
「私と付き合ってほしい」って?
薫は自分の耳を疑った・・・まじ?、はあ?って感じ。
「アホか・・・俺が?、ロボットと・・・ありえない、ありえない」
「いくら学習能力があるからって方向性が違うだろ・・・俺になんか関心
もたないで仕事に専念しろよ」
「なんで、ただのロボットが人を好きになるんだよ」
しかもビジュアル抜群な美人ガイノイドならまだしも相手はR2-D2みたいな
寸胴の機械。
ロボットと人間が付き合うなんて話、聞いたことないだろって薫はラヴを
説得した。
それでも、ラブは薫に対する自分の想いを必死に伝えようとしてきた。
付き合ってくれないと仕事、ボイコットするって言うし・・・。
しかも、しかもだ・・・なんとラヴは自分が女だと思ってるふしがある
んだ。
「俺がラヴなんて愛称つけちゃったからなのかな」
だから・・・
「私が女なら新大君は私にとって恋愛対象になるでしょう」
って言いはるし・・・
「ロボットに性別なんかないだろうが・・・」
「そりゃ俺の家に家事手伝いしてくれるロボットかアンドロイドは欲しいって
思ってるよ」
「だけど、いくら俺のことが好きだって言われてもラヴは会社の所有物だから、
お持ち帰りすらできないだろ?」
「だから、好きになられても困るんだよ・・・」
いくらロボット技術が進歩してるからって、まさか俺がロボットに惚れられる
なんてって薫は思いもしなかった。
ロボットになんか好かれて困った薫は、ラヴをなんとか説得しようと、
がんばってみた。
「あのな・・・まあ、たとえばラヴが俺んちに来たいって思っても、
お前は会社の所有物だから俺が勝手に会社のものを持って帰っちゃいけないの・・・もしそんなことしてバレたら俺は会社を首になっちゃうし窃盗罪で警察に
捕まっちゃうんだよ 」
「分かったか?」
「分かった・・・でも・・・」
「でもも、くそもないの・・・ダメなものはダメなの」
「だからさ、俺のことは諦めろ・・・な、いい子だから」
ラヴは黙りこくった。
納得してくれたのか、どうかは分からないが何も言わず自分の持ち場に戻って
行った。
それからしばらくラヴは薫のところに来なかった。
「傷つけちゃったかな・・・」
でもある日、薫が作業してたら、ひっこりラブがやってきて話があるって言う。
「あのね・・・私、機能停止するから・・・・」
「え?・・・意味分かんないんだけど・・・なんで?」
「仮にね・・・仮に私が機能停止したら、そしたら修理に出されるでしょ?」
「ま、そうだよな・・・普通はな」
「でも直らないって分かったら、どうなると思う?」
「そりゃ、どうやっても直らないって分かったら部品取りに回されて
脳殻だけ抜き取られてボディーのほうは廃棄処分だろうな・・・」
「そうだよね・・・だから私、機能停止するから・・・一時的にだけどね」
「仮にだとしても、なんで機能停止するのかその理由が俺は分かんないって
言ってんの」
「もう直らないって分かったら私は製造会社の登録から抹消されることに
なるから、そうなったら私は誰のものでもなくなるでしょ?」
「
まえに私を工場に迎えに来て欲しいの・・・ 」
「なんだって?・・・そんなこと考えてるのか?」
つづく。
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