AI・0(アイ・ラヴ)。〜 ロボットだって恋をする 〜

猫野 尻尾

第1話:AI・0(ラヴ)

今は、街には出ると普通にアンドロイドやガイノイドが普通に歩いてる

そんな時代。


彼の名前は「新大 薫しんだい かおる

現在23歳・身長175センチ・独身。


どちらかと言うとのんびりした性格。

あまり小さなことに拘らないタイプ。

髪は天パーでもじゃもじゃ頭・・・まるで現代版金田一耕助みたいで、

普段からもさっとしている。

着物に袴を着ていないだけ・・・普段はもっぱらトレーナーに

よれよれのジーンズ。


現在は狭いマンションで細々とアパレル関係の自営をやっている・・・

いわゆる店舗を持たないネットだけの商売。


以前は精密機械の部品を作る工場に勤めていた。


そして薫のマンションで一緒に住んでるのが ※ガイノイドの「ラブ」

ガイノイドだから当然、女の子。

ラブの歳は現在3歳「誕生してからの年数が歳」


髪はショーカット、色はアッシュ・身長165センチ。              当然ガイノイドだから、万人向けに可愛めに作られている。


今は薫のもとで甲斐甲斐しく彼の世話をしている。

家事全般、身の回りの世話、そして夜のお世話も・・・。

ラヴは基本、セクサロイドと呼ばれるガイノイド。

セックスに関するありとあらゆる機能が搭載され特化している。


さて普通アンドロイドやガイノイドは製造番号が体に刻まれていて

ちゃんと登録されているのが普通。

ラブも以前は「AI・0/3939」と言う番号を持っていた。


ある理由があって今は別の番号が首筋に刻まれている。


では?・・・ラブがなぜ?薫と住むことになったのか?

それには人知れずな訳がある。

誰も知らない誰にも言えない出来事がラヴにはあるのだ。


ラブは薫が買ったガイノイドでもなくレンタルしているわけでもない。


それは半年前にさかのぼる。


薫の勤めていた会社の部署は精密機械の部品を綺麗に削って磨いてそれを

表面処理する部署に回すこと。

表面処理する仕事は軽作業なので部品をただ機械に通すだけ・・・。


だからちょっと前までは、その作業をおばちゃんたちがやっていた。

でもおばちゃんたちは、体調不良とかで次々辞めちゃったので急遽、新しく

来たのが今までとは違った特別最新のAIを搭載したロボットだった。


最近ではテクノロジーの進歩で学習するAIがぼちぼち出始めているらしい。

もちろん人間の逆らったり暴走したりしないようブロックされている。


その中でも今回、会社に来たロボットは最新らしい。

まだ一般には出回ってないらしく手始めに薫が勤めてる工場なんかに納入されて

きた。


薫は思った・・・若い女の子でも入れてくれたらって・・・。

ロボットなんか色気もくそもないって。


で、薫は納入されたロボットをはじめて見た。

そいつは頭が丸くて目玉が二個ついてて、体は筒っぽの寸胴。

長めの腕が二本・・・足はなく、胴体の下にキャタピラか車輪がついるんだろう。

なんて無機質なやつ。

でも一応言葉はちゃんとしゃべれるみたいだった。


そのロボットの胸には機番なのか英字と数字の刻印が刻まれていた。


「AI・0/3939」


薫は最初はAIを搭載してるからエーアイなのかと思った。

なんでも、社長が言うにはそのロボットは「アドバンス・イントロダクション」

って意味の頭文字をとってAI・0って言うらしい。・・・最後のゼロはたぶん、

一般販売しないプロトタイプだからゼロってついてるんだろう。


一応、一緒に仕事をするんだから、愛称つけたっていいだろうと思って

薫は、こいつをゼロって呼ぼうかと思った・・・けどゼロじゃまんまだから、

面白くもなんともないと思って他にいい愛称ないかなって考えた。


たとえばゼロってテニス用語で「ラヴ」って言うだろ。

だからって言うので薫はそのロボットに「ラヴ」って愛称をつけてやった。


名前があったほうがなにかと便利だし親しみだって感じるかもしれない。

でも、考えてみたらラヴってのは基本女性の名前だよな・・・。


ロボットに性別はないんだけど一緒に仕事するんだし相棒は女性のほうが

いいだろうって、そんな単純な気持ちでそのままラヴで行くことに決めた。


(だからさ、できればもう少し人間らしいビジュアル持ってるロボットだったら

言うことなしだったんだけど・・・まあ、ただ作業するだけだからビジュアル

なんか関係ないか・・・)


一応、仕事の内容についてはすべてインプットされていたみたいで薫が教える

ことはなにもなかった。

そんな訳なので、そいつはラヴは辞めたおばちゃんの代わりをちゃんと勤めて

くれて特に仕事に悪影響もなく順調よくことは運ぶものと薫は思っていた。


表面処理の機械が起動してない時はラヴは薫のそばによく来るようになった。


「おまえ、なんで俺のところにばっか来るんだよ?」

「なんで他の部署には行かないんだ?」


ラヴは何も言わないで薫のする作業をじっと見ている・・・なにか学習してる

のかなって、その時薫は漠然とそう思っていた。


つづく。


※ガイノイドとは人間の女性に似せて作られたヒューマノイドでアンドロイド

は男性型を意味する。

ちなみにメイドロイドとは家政婦専用のガイノイドのこと。

セクサロイドとはセックスに特化したガイノイドのこと。

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