第27話 定例会議
ニレイルがこの学校に通って3ヶ月が経過した。ニレイル自身も学校に慣れたのか生徒たちと少しずつ会話しているのが目撃されるようになる。
しかし問題は3つある。1つは人間の襲来、おそらくこの位置はバレてしまったかもしれない。学校自体の場所を変える必要も出てくるかもしれない。
2つ目は、生徒にニレイルが0番だとバレてしまったこと。幸い、クロコ達が襲撃した際にその場にいたレイとアメリアだけしかこのことを知らないのが幸いだった。
そして最後にある生徒について。問題行動が多く、今まで停学処分を下していた生徒が来週から学校に通い始めるのだ。
今日はそれらについて教師達が話し合うため会議室に集まっている。サリアにベロニカ、各学年の先生たち、そしてアメリアとレイがこの場所に呼び出されていたのだ。
「さて、まず君たちはニレイルについてどう思う?」
サリアがレイとアメリアに問いかける。今は放課後の時間帯、2人は早く帰らせなければいけないからこの問題から話す。
「ニレイル先生は...分かりません。私にとってどういう立場なのかも。でも今は彼のことを見ていきたいと思います。」
レイは自分の意見を伝える。あの日、ニレイルと話してニレイルのことを信じようと思ったのだ。迷いはある、ただその迷いを解決するのはもっと先だ。
「私は彼とあまり関わりがなかったので判断しかねますわ。ただ危険なのは確かでしょう。」
アメリアは客観的に自分の意見を答える。正直、まだニレイルの人となりを把握していない。周囲の話でも危険なのは確かだ、だがそれと同時に有益な存在であるのもまた事実だった。
「…わかった。ありがとう2人とも。くれぐれも彼が0番であることは言わないように。意見がもらえて助かった。もう帰っていいぞ。」
2人は一礼すると会議室を出ていく。2人が帰ったのを見てからサリアが話を始める。
「さて、それでは彼について今のところみんなの意見をまとめたい。彼はこの学校にいても良いと思う者、挙手を。」
サリアの指示で手を挙げる。すると教師の半数が手を挙げていた。彼らは積極的にニレイルに授業を行ってもらった人達でそこでの関わりが今の意見なのだろう。
ただ反対も半数、元々人間を危険だと判断しており、共存は望みつつも0番であることに嫌悪感を示しているもの達だった。
課題は多くとも半数がにレイルの存在を許可していることは喜ばしいことでもある。期間は1年、それまでに彼らにもにレイルの良さを知って欲しいとも思った。
「まあ現状がわかったので良しとしよう。ただこれだけは抑えておいてくれ。今回の襲撃は女神がニレイルだけを狙ってくれたから助かっている。もし彼がいなかったらおそらく我々は全滅していた。」
一同はサリアの言葉を重く受け止める。神は強敵だ。それこそ一生体を鍛え続けてもそんな努力を笑いながら蹴散らすくらいには理不尽な存在だ。それを退けたニレイルの功績は大きい。それは全員が理解していた。
「さて...ニレイルの件はまだ時間がある。各々が見定めてくれ。そして人間の襲撃についてだ。仮に敵が女神を退けた事実を知っていたとしたら...おそらく次に攻めてきた時が山場だ。」
相手には女神さえ退ける力がある。その事実は人間にとって非常に危ない。そんな力がある他種族を決して野放しにはしないだろう。
だがその巨大な力を打ち倒すために準備が必要であることも確かだ。
「だから次、人間が攻めてきた時、逃げ道を用意しておく。もちろん今回のような少人数で何とか出来そうなら避難しないが、それ以上の人数で攻めてきた場合、学校ごと転移させる。魔族であるものは合同で転移魔法を発動するかもしれないと頭に入れておいてくれ。」
攻めてこなかったら良し、攻めてきたら今言ったことを行うことは頭に入れておいた方が良い。サリアには避難場所の目処もたっている。ただ周りのものが急に転移魔法を行うといっても準備がままならない場合だってある。だから今伝えて非常事態に備えることとした。
「そして、ベリドについてだ。」
今話した2つは正直その時になってみないと分からないことも多い。目下の課題は問題児、ベルドの扱いについてだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます