第24話 女神降臨

 ティムはスキルを発動する。ティムの近くにいたものは彼の仲間以外吹き飛ばされてしまう。ティムの辺りが光り輝く。すると空から女性の声が聞こえた。


「汝、何を求める。」


 ティムのスキルは女神降臨、この地に女神を呼び出し、願いを叶えるというものだった。ただし、願いの大きさによって代償を支払わなければいけない。


「女神様!ここにいる僕ら以外の奴を全員殺してください!!」


 そんなことはさせまいとニレイルが剣を生み出し、攻撃を仕掛けるのだが見えない壁に遮られてしまう。あれはやばい、それはニレイルの今までの経験が物語っていた。


「ほう。それは...無理な相談だ。あの男はそれほどまでに貴様との力の差がある。」


 代償の支払いはティム自身が実現可能か^_^どうか、その差によって大きく変わる。もし拮抗した相手を殺すとなったら代償も小さいのだが、今回はこの場にいるものの殺害を命じている。

 ティム1人ではどうにもできず、代償の支払いが多いのだ。


「そうさな。汝の大切なものも含めば奴1人、もしくは奴以外を殺すことは可能だな。」


 女神は選択を迫る。ティムはクロコの方を見る。ここのリーダーはクロコ、たとえ自身の大切なものが失われようと彼に従うしかなかった。


「0番を!あの男を殺してください!」

「男1人を殺してください。お願いします。」

「良かろう。では代償を頂く。」


 すると温かな光は途端に黒く輝き出し、ティム達を包み込んだ。ティムの大切なもの...それは仲間だったのだ。

 ティムとクロコは生気が抜けたように項垂れた。というより完全に息を引き取っていた。おそらく他の者たちもだろう。そして女神が顕現する。

 金色に輝く髪にウェーブがかかった美しい女性が現れる。神々しいというより文字通り女神なのだ。周りのサリアたちもその神々しさを感じている。だが、ニレイルにとっては違う。完全に敵意がこちらに向いていた。絶望とまで行かなくてもその圧倒的な圧から死を感じさせる。


「さて、代償分は働きましょう。」


 次の瞬間、ニレイルは左腕で右腕を押えながら上半身を守る。女神は一瞬でニレイルの前に現れ、蹴りを放つ。ガードの上からも重い衝撃が伝わり、ニレイルは吹き飛ばされる。そのまま木々をなぎ倒しながら吹き飛び続ける。

 ガードの上からと言ってもその力は強い、だがかろうじて骨は折れていないようだった。


「やはり、全員の命を奪わなければ釣り合わなかったわね。」


 女神の割には悪魔のような笑みを浮かべている。どうやら神と戦わなければいけないことにため息をつきながら、ニレイルは戦いのスイッチを入れるのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る