第23話 真実
「とりあえず、離してくれよ」
ニレイルはナイフを創造するとガノフがレイの足を掴んでいる右腕に刺した。
「くっ!!」
痛みからレイの足を離すと、ニレイルはレイを抱えたままアメリアの方に移動した。そこでニレイルはガノフの方に向き直る。
「あとはお前だけだぞ?降伏したらどうだ?」
「ふん、まさかな。やっと強いヤツと戦えそうなんだ!!」
ニレイルの提案を拒否するとガノフは剣を足から引き抜き、ニレイルに迫る。それに合わせてニレイルも距離を詰める。
ガノフが横に剣を振るうとニレイルはしゃがんで剣を避ける。そのままガノフの腹に一撃、ガノフの体制が下がり、ニレイルは頭を殴りつけ地面にガノフの頭を叩きつけた。
「やるなぁ、流石だぜ。」
鼻血を出しながらニレイルの方をガノフは見る。だが段々と意識が途切れそうになってしまう。意識が消えそうな中、ニレイルの声が聞こえる。
「お前はあのナイフを避けられなかった時点で負けなんだがな。」
ニレイルのスキル、創造はニレイルの知識があるものを創造する。それは液体や気体も例外ではなかった。レイを助けるために創造したナイフには表面に麻酔薬を創造していたのだ。
そんなことは知らず、ガノフは意識が途切れてしまうのだった。
「おや、ニレイルはもう来ていたのか。」
ガノフを倒したのと同時くらいにサリアとベロニカが商店街の方から飛んできた。サリアは3人、ベロニカは2人の敵を抱えていた。
どうやら隅に隠れていた敵も倒してきたらしい。そう言えばと思い、ニレイルはレイを助けるためにその場に置いたクロコとルビィを連れてきた。そこに女を抱えたグラド、そして満身創痍なヘイルも寮の方から出てきたのだった。
「珍しい。まさかマスターが手を貸してくれるとは」
「いえいえサリア様、案外敵が弱かったもんでね。」
これで10人、晴れて敵を捕らえられたのでサリアが魔法で拡散する。
『敵は全員捕らえた。もう安心してくれ。各々自由に行動してもらって構わない。』
これで大体やるべきことが終わった。一同が安心している中、ニレイルはロープを創造し、全員を縛り上げた時だった。
「…まさか…やられるとはな……待て、俺は戦う意思はもう無い。」
クロコが目を覚ました。全員が警戒するがもう戦う意思が無いようだ。クロコはニレイルの方を見る。先程のやり取りでニレイルがこちら側になるとは思わない。
だったらやり方を変える。ニレイルを仲間にするのではなく、ニレイルが他種族の敵となるような言葉、それにピッタリな言葉があった。
「なあ、お前らは奴が0番だと知って仲良くしているのか?」
その言葉を聞き、レイは固まった。だってニレイルは0番の行方を知らないと言った。学校統一大会で自分の父のように接してくれた。そんな優しい彼がまさか自分が殺したかった相手だなんて。
「嘘...でしょ......?」
その反応をクロコは見逃さないで畳み掛けるようにレイに続けた。
「そうだ!奴はお前らの種族を殺し続けた大罪人だぞ!お前らのことなんてなんとも思ってないような奴をお前らは許すのか!」
最悪、奥の手はまだある。だがそれはクロコのスキルではない。スキルを使えば負けるのは先程の戦いで目に見えている。
「レイ、はやまるなよ」
サリアがレイに声をかける。だがサリアの声が届かない。泣きそうになりながらレイは膝を着くのだった。そんな時、サリアが倒したCランクの冒険者であるティムが目を覚ました。
「ティム!あれをやれ!」
クロコたちの奥の手が発動するのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます