侵入者③

「んん〜〜〜〜!!」


 商店街にあるお菓子屋さん、そこのケーキを美味しそうに頬張る女性がいた。彼女はクレア、最初のニレイルについての会議で折衷案を出した兎人族の先生だ。白く長い髪に赤い瞳、そして特徴的なのは頭の上に兎のような耳が着いている。

 彼女は人見知りが激しく授業も満足いくようなものが出来ていないと自分でも感じる。それに同業の先生も怖いと感じている。

 そんな日々のストレスを解消するためにいつも帰る時に商店街によってケーキを食べるのが日課だった。そんな矢先に侵入者の報告が響き渡る。だが食べるのをやめない。


(他の人に任せたいなぁ。戦うの嫌いだし...。)


 彼女は平和主義、一応戦えはするのだが、そこまで好きではない。だから正直、他の人に戦いを任せたかったのだが...。


(あ、1人来てる...頼むから他のところに行ってぇぇぇ。)


 兎人族は耳が良い。彼女はこちらに向かってくる足音を聞く。だが彼女の思い虚しく、足音はこの店の窓を突き破った。突き破った黒装束の小柄な女性と思わしき人物が笑いながら声を出した。


「兎人族はっけーーん!」


 小柄な少女とクレアは激突する。





 寮は3つの種類がある。男子生徒寮、女子生徒寮、そして職員寮の3つだ。生徒はまだ子供ということもあり間違いがあっては行けないと寮を分けている。職員寮は共同スペースは別れているものの全職員が住む寮だ。無論、商店街にも住んでも良いのだが、そちらには店を出している職員がそのまま住むことが多いので教師として生徒に授業を行うものは大抵、こちらの職員寮に住んでいる。


 そんな3つの寮を統括しているのはヘイルという男性の寮長だった。彼は魔族であり、普段は寝ている。ただ緊急時に対して行動を行う。サリアの声を聞き、ヘイルは動き出した。


「僕の眠りを邪魔しやがってぇ。」


 部屋にあった武器を持ち出し、外に出る。武器は15m程の棒で先端には30cm程の鉄の球体がついていた。彼は寮の決められた範囲内ではサリアと同じようなことが可能だった。


「この感じ...アメリア嬢と竜神族が相手にしてるならまだ問題なしか...。んじゃ1人は僕が相手で1人は飛ばそう。」


 鉄球のついた棒を地面に付くと目の前に1人の男が現れた。これは彼の魔法で無理やり瞬間移動させた。男は2本のナイフを持ちながら身構えている。


「貴様、一体どうやって私を?」

「てめぇに関係ねぇだろうが、侵入者。」


 黒装束の男とヘイルは次の瞬間、武器と武器が交錯した。





 寮に侵入した弓を持った男、先程まで仲間の男と一緒に行動していたはずなのに目の前から急に消えてしまった。それに視界も先程までは部屋の中にいたはずが今は建物の屋上に出ていた。


「どういうことだ?いやわかるな、瞬間移動させられたのか。」


 一瞬で自分が置かれた状況を理解する。だがそんなことも束の間、急に屋根が盛り上がり、男は大きく上空に飛ばされた。


「やられた!クソ!分断が目的か!!」


 今はとりあえず、着地について考えなければいけないのだが、飛ばされた方向を見ると赤い翼をはためかせる女性が目に入った。


「全く...ヘイル様は強いのにあえてこちらに飛ばしましたね...。」


 ベロニカと男は空中で接敵したのだった。

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