学校統一大会②
「なんで父さん来るんだよ!」
「お母さん!見てた!勝ったよ!」
学校統一大会の本戦、それぞれの生徒が戦ってる中、観戦している生徒はそれぞれの家族と過ごしていた。
中には両親が来るのが嫌そうな生徒もいるが、どこを見ても幸せそうな、家族の愛に満ちていた。レイにはそれがとても羨ましくて。
レイの周りの生徒でレイと張り合えるような生徒はなかなかいない。この後順調に勝ち進んでいくと、上の学年の生徒と戦えるのだが...。
「あの子って何族?」
「魔族とは違うけど...恐ろしい強さね。」
辺りから自分のことを話す声がする。竜神族は身体能力が高く、耳も良い。小さな声で話しているようだが、レイには聞こえていた。他にも視線を感じている。嫌な目だ。
(あー。お父さん、お母さん。)
ここで両親がいたらどれだけ救われただろうか。2人がいたらこんな声も、こんな思いもせずに仲良くとまではいかなくても母は私を褒めてくれて、父は直接褒めてはくれないが不器用ながらもちゃんと接してくれただろう。
(もう戦うのはやめよう。)
次の戦いは体調不良で棄権した。学校の保健室で1人寂しく眠りについたのだった。
…これが去年の学校統一大会だった。レイは今は2年生、周りのものたちも上の学年の生徒も去年よりももっと強くなっているだろう。
経験というニレイルの言葉は確かにその通りだった。だけど...心が追いつかない。復讐を決め、なりふり構わず強くならなければいけないのに。それでも心のどこかで家族の愛を求めて寂しくなってしまう。
この学校は16歳以上になると通うことが出来る。そして6年間この学校で学ぶのだ。これは他種族の寿命を考慮してのことであり、極端なことを言えば100歳で入学も可能である。その代わり学年はちゃんと1年生からで飛び級は無しなのだが。
レイはまだ17歳、竜神族は寿命が1000年を超えるものが多いので他のものから見たら赤ちゃんのような扱いなのだ。
だからこそ、まだ家族の愛を受けたい時期なのだ。純粋故に復讐に簡単に染まってしまった。
「そうか...私は少し嬉しかったのか......。」
生徒の寮の一室、レイはニレイルに言われたことを思い出しながら自分の気持ちを考える。本当はまだ家族とご飯を食べたかった、話したかった、甘えたかった。もしかしたらそれが出来るかもしれないと思うと期待で嬉しかった。
「そんな子供みたいな...。いらない。」
そんな甘さは捨ててしまえ。でなければ奴には勝てない。私の人生の目標は奴を殺すことなんだ。それまでは走り続けろ。
レイは眠りにつく。まだ燃え尽きぬ復讐の心と共に。
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