第14話 学校統一大会
「学校統一大会があるらしいね。」
「そうだよー!今の時期はちょくちょく予選をしてるんだ!」
「……」
生徒の授業が終わり放課後、またいつものようにレイの特訓をしているとどこかから噂を嗅ぎつけたクーが現れた。どうやらニレイルと話がしたかったらしい。
最近はレイに付きっきりだったため、他の生徒との交流も少なく、クーも我慢の限界だったと言う。流石に彼女を特訓に巻き込む訳にも行かず、今は座って話をしている。
クーは満足した顔でニレイルの膝に座り、レイは不機嫌そうに立っていた。今は昨日、サリアの口から出た学校統一大会の話をしている。ニレイルは詳しくその話を聞いていなかった。
「あのねー、学校統一大会はみんなで戦うの!それで1番の人に校長がその人の要望を叶えてくれるんだ!」
クーが明るく話してくれる。どうやら結構大きな大会らしい。通りで最近になってちょくちょく訓練場を見に来る人が増えた。まあ大半がレイとニレイルのことを見に来る野次馬なのだが、時々不満そうに見てくる生徒もいた。その理由はこの学校統一大会に向けて特訓したい生徒だったのだろう。
「それにねぇ、全員でやるから時間足りなくて今から予選してるんだけど。本戦は家族も来るんだ!」
その話を聞いてレイの顔が暗くなる。保護者も来るとなると生徒たちのやる気も変わるだろう。だが、全員をしっかり見た訳ではないが...おそらくレイは大会の上位にくい込んで来るのだろう。
親の居なくなったレイにとっては寂しく、他の生徒の保護者からしたら面白くないのだろう。
「そっか。レイは予選勝っているのか?」
「…はい。」
負けるのはいやらしい。だが勝つことも嫌というような表情をしていた。だが経験という観点からしたら学校統一大会というのはレイにとって良い経験の場にもなる。
「良し!レイ、学校統一大会は優勝目指そう!」
「え?でも...子供の活躍をみたい他の方にも......。」
「まだレイも子供だろ?大丈夫だ、学校統一大会の時は俺が保護者としてレイのことを応援するから!」
その言葉を聞いて複雑な顔をする。ニレイルは0番と同じ人間だ。だが去年もあった学校統一大会では親のいないレイは少し寂しくなった。それは他の生徒が家族と接している所を見て、寂しくなったのだ。それを埋めてくれるような提案にどんな顔をしていいか分からなかった。
「むぅー。ねえ!なんでレイちゃんはレイって言うのにクーのことはクーさんなの!」
レイが答えるより先にクーが不満を言う。一応、職員という立場もあり、生徒はさん付け、一人称も僕にしている。一人称については感情的になると俺と言ってしまうが気をつけるようにはしていたのだが、どうやらそれが気に食わないらしい。
「うーん。わかった。じゃあクーって呼ぶからな」
「うん!」
クーはニレイルの下から顔を上げながら満面の笑みを向ける。それを見るとニレイルも笑顔になった。
問題はレイの方だ。彼女はまだ学校統一大会について考えているらしい。悩んでいるのがよくわかる。
「私は...。」
「まあ学校統一大会は単純に僕とは違う戦い方を経験できるって点で勝ち上がった方が成長があるってだけだ。やりたくないならやらなくてもいい。そこは本番まで考えといてくれ。」
今日はこれで解散した。レイは学校統一大会について考えていくのだった。
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